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心カテを理解する — 冠動脈の番号・覚え方 —

今回のテーマは「冠動脈」です。

IVUSやらOCT、FFRなど取り上げたいのですが、心カテ業務に入るからこそ、まずは「キホンのキ」です。

心カテ業務だけではなく、実習前の学習に、医療従事者の基本知識として冠動脈については知っておいて損は無い情報を取り扱っていけたらと思います。

Moegi

「キホンのキ」と言いながら熱くなって語り出したらすみません。
私はカテの話になると止められないのです。

では、いきましょう。

この記事を書いた人

Moegi

取得資格

臨床工学技士(CE)、ITE 心血管インターベンション技師、ME1種検定試験

得意領域

カテーテル、アフェレシス、内視鏡、機器管理など

大学病院での幅広い勤務実績をもとに、臨床工学技士業務全般執筆しております。

下の記事でも心カテで頻出する英語と略語を取り上げています。
coronaryにも触れています。

目次

冠動脈とは

冠動脈coronary:コロナリー)とは、心臓の心筋組織を灌流して栄養する血管です。

私達心カテ担当者や医師は”coronary”と英語で話すことが多いですので、ここで覚えてしまいましょう。

冠動脈:illustACより
https://www.ac-illust.com/main/search_result.php?word=%E5%86%A0%E5%8B%95%E8%84%88

冠血流について

冠動脈の血流量は、心拍出量(CO)の約5%が灌流しており、その量は250[mL/min]程度と言われています。

CAG(冠動脈造影)やcoronary CTで視認できている心外膜冠動脈(いわゆるLADやLCxなど)ですが、実は心臓の血管の5%程度しか解像度の問題で視認できていないません。

つまり、coronaryの95%は冠微小血管による微小循環が心筋への血流調整と分布に重要な役割を果たしているのです。

冠微小血管:Abbott社HP
https://www.cardiovascular.abbott/jp/ja/hcp/disease-management/coronary-microvascular-dysfunction/interventional-cardiologists.html

微小循環に関してはCMD(冠微小循環障害)の記事にて紹介する予定です。

冠動脈の名称

本記事のメインの項となります。

この記事を読みに来られているということは、カテ業務初学者やcoronaryの名称や番号がなかなか覚えられない方だと推測します。是非とも、ここで覚えていただきたいところです。

AHA分類

AHA分類とは、米国心臓協会(AHA:American heart association)によってcoronaryを1番から15番に振り分けすることを規定したものです。

coronaryの分類にはもう一つ、CASS(coronary artery surgery study)分類といってAHA分類より細かい分類されているものがあり、個人差にも対応しやすい分類があるのですが、AHA分類の方が日本では従来より一般的に用いられていることからも本ブログでもAHA分類を用います。

では早速、AHA分類の一覧をご覧ください。

coronary AHA分類

・・・ハイ、番号と文字と英語が並んでいるだけでよく分からないですねー(棒)

最終的には、CAGの画面からすぐにどの血管かもしくはどの番号なのか瞬時に把握することが目標となります。

Moegi

大丈夫です。
個人差あれど、CAGの造影画像を繰り返し見ているうちに覚えます。

冠動脈の解剖(AHA分類)

AHA分類の表をご覧いただけたと思いますので、次はcoronaryの解剖を見ていきましょう。

最初の画像は、AHA分類での番号のみを振り分けている画像です。

単に「番号だけ覚えてきてね」という感じだと、この画像で事足ります。

冠動脈解剖(AHA分類)
「循環器内科.COM」https://xn--v6qx2jexjd1vw1f.com/cag/

しかし、実際の新人実習や臨床実習では、番号のみ覚えるだけでは足りません。
しっかりと、略語と番号を対応させて覚えます。

よって、次の画像を最低限覚えるのが良いと考えます。

冠動脈の名称と番号:看護roo!DL用イラスト
Moegi

実際のCAG画像では、患者によってcoronaryの走行が異なるだけではなく、角度によって見え方が変わってきます。

例えば、LCxとLADが角度によっては入れ替わることも・・・。

これがcoronaryの解剖を覚えるのに苦手意識が出る所以ですね。

冠動脈の番号を覚えるポイント!!

さて、ここまで「覚えましょう」とひたすら言ってきましたが、「そう簡単に覚えられたら苦労しないやい!」っという声が聞こえますが、そうでしょうね・・・と。

私が以前から言ってきていることですが、「どう記憶を定着させるか」がポイントです。

私が新人や実習生に指導する際には、いろんなことを紐付けて覚えさせるよう心掛けています。
表や図をそのまんま覚えるのか、ステップを踏んで覚えるのか・・・自信のスタイルで覚えていきましょう。

STEP
左右の冠動脈で考える

「coronaryは大きく3本ある」と言いますが、まずは左右の2本で考えましょう。

バルサルバ洞から左右に1本ずつcoronaryが走行します。

左右でそのままですが、

  • 右冠動脈 RCA:right coronary artery (#1−#4)
  • 左冠動脈 LCA:left coronary artery (#5−#15)

に分かれます。

左右の冠動脈:「画像診断まとめ」https://遠隔画像診断.jp/archives/1065
STEP
右1本、左2本の3本で考える

LCAは大きなcoronaryとして2本に分岐します。

分岐前の血管も含めてLCAは、

  • 左冠動脈主幹部 LMT:left main trunk 【通称:LM
  • 左前下行枝 LAD:left Anterior descending branch
  • 左回旋枝 LCx:left circumflex branch 【通称:Cx、サーカム】

に分類されます。

左右の冠動脈:「画像診断まとめ」https://遠隔画像診断.jp/archives/1065
STEP
それぞれの起始部の番号を覚える

coronaryの番号は、#1から#15を順番に覚えるのも良いですが、まずはRCA、LMT、LAD、LCxのそれぞれの起始部の番号を覚え、そこから順番に覚えると良いでしょう。

それぞれの起始部の番号は

  • RCA #1
  • LMT #5
  • LAD #6
  • LCx #11

となります。

冠動脈起始部番号
トーアエイヨー:循環器用語ハンドブック(WEB版), 1.構造・機能, 冠[状]動脈より改変
https://med.toaeiyo.co.jp/contents/cardio-terms/anatomy-function/1-4.html
STEP
それぞれの血管で振り分けを覚える

最終的に3本のcoronaryを起始部より順番に番号を覚えます。

  • RCA #1−#4
  • LAD #6−#10
  • LCx #11−#15
冠動脈の番号振り分け
トーアエイヨー:循環器用語ハンドブック(WEB版), 1.構造・機能, 冠[状]動脈より改変
https://med.toaeiyo.co.jp/contents/cardio-terms/anatomy-function/1-4.html

冠動脈解剖(AHA分類)
「循環器内科.COM」https://xn--v6qx2jexjd1vw1f.com/cag/
Moegi

LADとLCxでは振り分け順が異なる点に注意しましょう。

ここでは番号のみを覚えることに特化させていますので、是非ここで覚えてしまいましょう。

私が新人や実習生に教える際に使用するものですので、実際のCAGの見え方とは異なる場合がありますのでご注意ください。

RCAの番号を覚える

RCAの番号はシンプルです。

それなりに大きな側枝が区切りに使用されます。

RCA 番号振り分け

さて、RCAで困るのは#4PLと#4AVの扱いでしょうか。

#4PDは後下行枝ですのですぐに判別可能ですが、実際の現場では#4PLと#4AVは混在して使用されているイメージです。

基本的には#3から下側に走行しているのが#4PD、上側に走行しているのが#4PLという認識で良いですが、#4PLではなく#4AVと呼ばれることもあります。

下の2つの画像を参照していただきたいのですが、#4PLからの分枝が房室結節の方へ伸びて走行しているものを#4AVと呼んでいるのです。

要は、基本的に#4PLと呼んでいるが、#4AVと呼んでも差し支えはありません。

#4PLと#AV

【#1と#2の境界について】
よく出されている画像では、右室枝を境界に#1と#2が示されていることが多いと思います。
しかし、AHA分類上の定義では正しくはありません。

#1と#2の定義は、「右冠動脈入口部(os:ostium)から鋭角部までを二等分し、近位部(proximal)を#1、遠位部(distal)を#2」と定義されています。

鋭縁部は鋭角枝(鋭縁枝:AM)を目印にされます。さらに#1と#2の中間あたりに右室枝(RV)が良い具合の位置にあるため、便宜上#1と#2の境界にRV branchが利用されることがほとんどです。

しかしながら、定義上は下の図のようにRV branchからずれる場合もあるということです。


LCAの番号を覚える

さて、RCAはすぐに覚えられますが、LADとLCxが少し覚えにくい方が多いでしょう。
なぜなら、本幹と側枝の数える順番がLADとLCxでは異なるからです。

しっかりと正確に覚えましょう。

LCA 番号振り分け

LADの番号を覚える

LADの番号は本幹を先に#6、#7、#8と数え、次に側枝である対角枝を#9、#10と振り分けられています。

LAD 番号振り分け

LCxの番号を覚える

LCxは本幹を何番とするのに悩みますが、私は#11→#13→#15と考えるようにしています。

LADは本幹から側枝へ番号が振り分けられているのに対し、LCxは本幹と側枝を交互に振り分けられるイメージで数えます

LCx 番号振り分け

小ネタ「#と♯」について

「#6」や「#11」などで使用されるcoronaryの番号を表す「#」について少しお話しを・・・。

カルテにも使用されているので看護師さんを始めとして、身近な記号ではあります。

さて、この「#」は”シャープ”ではないことに注意をしなければなりません。
たまに耳にしますが、少し恥ずかしい思いをすることも・・・。

このcoronaryの番号やカルテで使用される記号は”ナンバー“です。

(ナンバー)】 ,  【(シャープ)】

よく見ると微妙に縦線と横線共に角度が違いますね。

coronaryの番号では”#”の他に”Seg.(セグメント)“が使用される場合もあります。

Moegi

ちなみに半角だと、「#(ナンバー)」「#(シャープ)」となってしまい、見分けがほとんどつきませんでした・・・。

さいごに

今回の記事はcoronaryの番号を覚えることにフォーカスを当てて執筆しました。

次回は側枝の枝などを覚えることにフォーカスして執筆したいと思います。

そして、CAGの読影のコツについても解説していきたいとも考えています。

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この記事を書いた人

職歴
現大学病院勤務
取得資格
臨床工学技士(CE)、ITE 心血管インターベンション技師、ME1種検定試験

得意領域
カテーテル、アフェレシス、内視鏡、機器管理

大学病院での幅広い勤務実績をもとに、臨床工学技士業務全般執筆しております。
1児のパパでもあり、子育て情報も発信していけたらと思います。

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