補助循環 IMPELLA — デバイス紹介—

本記事では、IMPELLAカテーテル本体についての説明をします。

カテーテルの構造やサイズなどスペック的なお話となるので内容的にはCEや医師向けかもしれません。
しかし、IMPELLAを扱う上では基礎事項となりますので循環器病棟やICUの看護師さんも知っていて欲しい内容です。

当ブログ一連のIMPELLAの記事で導入まで問題なくこなせられるようになることを目標に執筆したいと考えています。

目次

IMPELLA製品ラインナップ

まずは関連デバイスのご紹介です。

IMPELLA制御装置

IMPELLA制御装置本体です。

ECMOやIABPよりはコンパクトな装置です。

IMPELLA本体:ABIOMED社提供

IMPELLA補助循環用ポンプカテーテル

続いて、ポンプカテーテルです。IMPELLA CP SmartAssistとIMPELLA 5.5 SmartAssistの2種類が現在(2022年9月時点)日本で扱われているものになります。

※ただし、スペック比較のためにIMPELLA 2.5やIMPELLA 5.0が登場することがあります。ご了承ください。

IMPELLAポンプカテーテル:ABIOMED社提供

パージセット

IMPELLAの管理上、欠かせないデバイスです(後述します)。

パージセット:ABIOMED社提供

その他付属及び併用品

その他で必要な物品を挙げます。

  • ヘパリン加5%Tz
  • 留置用ガイドワイヤ(0.018inch、0.035inch)
  • 専用イントロデューサキット
  • 8Fr シース(IMPELLA CP SmartAssistのみ)
  • 5Fr ピッグテールカテーテル
  • グラフトロック(IMPELLA 5.5 SmartAssistのみ)
  • シリコンプラグ(IMPELLA 5.5 SmartAssistのみ)

主なデバイスの説明

それでは、今回は制御装置やポンプカテーテルの説明をします。その他諸々のデバイスは導入編で説明します。

IMPELLA制御装置

こちらがIMPELLA制御装置本体となります。
装置全面の各ボタン等についても併せて画像を掲載します。

IMPELLA本体ボタン説明:ABIOMED社提供

IMPELLA本体ボタン説明2:ABIOMED社提供

IMPELLA本体ボタン説明3:AIOMED社提供

制御装置の機能は以下の通りです。

  • IMPELLA補助循環用ポンプカテーテル(以下、ポンプカテーテル)の機能を監視
  • ポンプカテーテルの機能を制御するインターフェース機能
  • ポンプカテーテルへのパージ液の供給
  • 電源供給が無い場合の予備電源機能

制御装置の重量は12kgありますが、基本的には専用のスタンドに取り付けられています。
内蔵バッテリは備わっており、フル充電であるならば、最低60分間はバッテリ稼働が可能です。

IMPELLA用スタンド:ABIOMED社提供

ポンプカテーテルスペック

以下に、IMPELLA CP SmartAssistとIMPELLA 5.5 SmartAssistの性能と比較表を示します。

ポンプカテーテルスペック:Moegi作成

補助レベル別流量

IMPELLAの流量はP0からP9で表現されます。

最大補助流量は、IMPELLA CP SmartAssistが3.7[L/min]、IMPELLA 5.5 SmartAssistが5.5[L/min]となっていますが、サクション状態、ポンプカテーテルの留置位置、ポンプへの後負荷などにより得られる補助流量は変化することに気をつけてください。

IMPELLA CP SmartAssist 補助流量:Moegi作成

IMPELLA 5.5 SmartAssist 補助流量:Moegi作成

IMPELLAシステム構成

下図のようなシステム構成図となっています。画像はIMPELLA 5.5 SmartAssistのものですが、カテーテル先端にピックテールが無いだけでIMPELLA CP SmartAssistも同じ構成です。

IMPELLAシステム構成:ABIOMED社提供

ポンプカテーテル形状

IMPELLA CP SmartAssistとIMPELLA 5.5 SmartAssistのカテーテルのカテーテルサイズは下記の通りです。

ポンプカテーテル
ABIOMED社提供改

IMPELLA CP SmartAssistの方が使用頻度は多いので、もう少し詳しい設計をお見せします。

IMPELLA CP SmartAssist設計詳細:ABIOMED社提供

さいごに

この記事を読んだ方向け オススメの参考書

補助循環用ポンプカテーテル マスターガイド - Impella A to Z

Moegi

IMPELLAに関して専門的に書かれている唯一といっていい参考書です。
当然私も所持しています。

IMPELLAの参考書が販売されています。 基礎編と臨床編で構成されており、プロトコルなど全国の医療機関の実例を基に執筆されています。 販売されて間もないCP SAと5.5SAも掲載されています。

以上でIMPELLAに関わるデバイスのスペックについて解説しました。
細かい数値まで覚えるのは大変ですが、先生に質問された際にスパッと答えられるとスマートです。

次回は、IMPELLAの導入に関わる内容にする予定です。
よろしくお願い致します。

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

シェアして頂くと励みになります!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

CEじゃーなる おすすめ書籍紹介

その名の通り、教科書的なイラストではなく、透視図と断面図が掲載されており、心臓の詳細な解剖が掲載されています。 解剖書では見られない、心臓外科医の先生が描かれる参考書となっております。
循環器の解剖や基本的な疾患が掲載されているスーパービジュアルシリーズです。 病気が見えるシリーズに似ていますが、実は内容はほぼ同じで価格が約半値です。 しかも見やすい図解ですのでとてもおすすめです。
大きな声では言えないのですが、後輩達数名が所持していました。 そして、私も購入しています。 生理学や数式から循環を学ぶ参考書です。 グリコカリックス理論等についても触れられています。
心カテ業務で必要な基本的な内容が盛り込まれています。 普段は後輩に貸しているオススメの1冊です。 当ブログの参考資料としても重宝しています。

この記事を書いた人

職歴
現大学病院勤務
取得資格
臨床工学技士(CE)、ITE 心血管インターベンション技師、ME1種検定試験

得意領域
カテーテル、アフェレシス、内視鏡、機器管理

大学病院での幅広い勤務実績をもとに、臨床工学技士業務全般執筆しております。
1児のパパでもあり、子育て情報も発信していけたらと思います。

コメント

コメントする

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

目次