「シャント音、なんか変わった気がする」。そう思ったあと、次に何をどう確認するか。透析室でいちばん毎日触れているのに、いちばん体系的に習う機会がなかったのがVA管理ではないでしょうか。穿刺を任される回数は増え、エコーも触るようになりました。それでも判断の基準は先輩から口伝えで受け継いだものだけ、という職場は少なくないと思います。
VA管理指導士は、そこに共通のものさしを持ち込むために作られた認定資格です。この記事では、何のために作られた資格なのか、取ると現場で何が変わるのかを中心に、受験資格・費用・試験内容までをまとめました。書いているのは臨床工学技士・透析技術認定士として透析室に立ち、第1回試験を実際に受けた一人です。2026年8月18日に発表された第1回の結果もふまえて書き直しました。
- VA管理指導士が何のために作られた資格なのか(協議会の設立趣旨から)
- 取得すると現場で何が変わり、何は変わらないのか(加算・手当の実際)
- 誰が受けられるのか。施設要件がないことの意味
- 申込から認定までの流れと、総額でいくらかかるのか
- 一次試験・二次試験の中身と、第1回を受けた実感
- 第1回一次試験の合格者数と、そこから推定できる合格率
編集部臨床工学技士・透析技術認定士として透析室に立っています。
第1回の受験を決めたときは公式テキストも過去問もなく、かなり手探りでした。
結果は一次で不合格。それでも受けたから書けることがあるので、公式サイトには載っていない部分も含めて書きます。
VA管理指導士とは?──VAを「守る側」の標準をつくる資格
VA管理指導士は、バスキュラーアクセス(VA)の日常管理を担う医療者を認定する資格です。第1回の認定講習会が2026年4月、一次試験が同年7月に行われました。
VA管理指導士認定制度協議会は、この資格を「多くの施設で適正なVA管理が行われるよう全体のボトムアップを図るため」に設立したと明記しています。
個人のスキルを証明するためだけではなく、その人を通じて施設のVA管理レベルを引き上げることが目的に置かれています。
- VA日常管理の適切な実践
- VA管理を行う環境の整備
- スタッフ・患者の教育
- 患者個々の適正なVA管理計画の策定
この4つのうち、①以外は自分以外に向いた項目です。環境を整える、人を教える、患者ごとに計画を立てる。自分が上手に穿刺できることは、要件の一部でしかありません。名称に「管理」だけでなく「指導」が入っているのは、このためです。



自分が刺せればいい、で止まっていた時期が長かったので、この4項目を最初に見たときは正直けっこう刺さりました。「指導」の2文字が重いです。
なぜ”今”、この資格ができたのか
VA管理そのものは昔からある仕事です。第1回が2026年になった背景には、ここ数年で重なった3つの変化があります。
令和3年(2021年)のタスク・シフト/シェアで、臨床工学技士がVAに関わる範囲は2つの別々の経路から広がりました。
ひとつは法改正による業務追加です。血液浄化装置の穿刺針などの先端部を表在化された動脈・表在静脈へ接続する行為と、そこから抜去する行為が加わりました。既に免許を持っている技士がこれを行うには、厚生労働大臣指定の研修(いわゆる告示研修)の受講が必要です。
もうひとつは法改正によらず、通知で整理されたものです。VAのエコー検査は穿刺に付随する行為として、VA造設術での器械出しは医行為にあたらないものとして、現行制度の下でも実施可能と示されました(医政発0930第16号)。こちらは告示研修の対象業務ではありません。同じタスク・シフトの文脈で語られがちですが、根拠が異なります。
エコーで行えるのは形態と血流の確認までで、診断や読影は医師の領域です。業務範囲を超える判断が必要な場面では、必ず医師に相談してください。
いずれにしても、ここで整理されたのは「その行為を安全に実施してよいか」までです。そのVAをどう評価し、いつ手を打ち、施設としてどう仕組みにするかは、どちらの枠組みにも入っていません。穿刺と接続の手前にある評価と、その先にある管理の設計は、相変わらず各施設のOJTに委ねられてきました。 日本臨床工学技士会の『臨床工学技士のためのバスキュラーアクセス日常管理指針』は2016年の初版から10年を経て2026年に改訂第2版が公開されていますが、指針を読むことと、読んだ内容を施設に定着させることは別の作業です。
協議会も設立の背景として「透析患者の高齢化などの影響でVA管理はますます重要となっており」と述べています。血管条件の厳しい患者さんが増えるほど、作ったVAをどう長持ちさせるかの比重が上がります。
令和8年度診療報酬改定では、腎代替療法診療体制充実加算の施設基準に、シャントトラブル発生時に他施設と事前に連携する体制の整備が盛り込まれました。個人の技量ではなく、施設としての体制が要件になっています。


業務範囲が広がり、患者背景が難しくなり、施設として体制を問われる。この3つが重なった時期に、VA管理を体系立てて語れる人を認定する枠組みが立ち上がりました。
検討段階では「VA日常管理指導士」と呼ばれていた
制度化の過程では「VA日常管理指導士」という名称で紹介されることがありました。学会のパネルディスカッションなどでもこの名前が使われています。正式名称は「VA管理指導士」です。古い情報を検索していると旧称のほうに当たることがあるので、同じ制度を指していると考えて差し支えありません。
当ブログでも旧称の時期に書いた記事がありますが、内容はこのページに統合しています。
似た資格との違い
VA・血管に関わる認定資格はほかにもあります。主なものを並べてみます。
| VA管理指導士 | VA看護管理者 | 血管診療技師(CVT) | |
|---|---|---|---|
| 認定団体 | VA管理指導士認定制度協議会 | 日本臨床腎臓病看護学会 | 血管診療技師認定機構 |
| 対象職種 | 医師・看護師・准看護師・臨床工学技士など | 正看護師 | 臨床検査技師・看護師・臨床工学技士・診療放射線技師・理学療法士・准看護師 |
| 経験要件 | 普段からVA管理に取り組んでいること | 臨床5年以上/血液透析看護3年以上/VA穿刺2年以上 | 資格取得後3年以上(准看護師5年以上)+構成学会員の医師のもとでの血管疾患診療経験 |
| 対象領域 | 透析患者のVA日常管理 | 透析患者のVAと患者・家族へのケア | 血管疾患全般(動脈・静脈・リンパ) |
| 費用の目安 | 講習15,000円+受験15,000円 | 合計55,000円 | 講習12,000円+受験12,000円+認定料12,000円 |
| 更新 | 5年ごとの予定 | 5年ごと・50ポイント | 5年ごと |
VA管理指導士の特徴は、受験にあたって所属施設や指導医の条件が問われないことです。CVTは構成学会に所属する医師のもとでの血管疾患診療経験が要件に含まれ、VA看護管理者は正看護師に限られます。VA管理指導士は職種を限定せず、普段からベッドサイドでVA管理に取り組んでいれば対象になります。
前提はあくまで「ベッドサイドでVA管理を実際に行っていること」です。検査などには関わっていても日常のVA管理を行っていない場合は対象外とされています。



この「施設要件なし」がいちばん大きいと思っています。大きな施設にいないと取れない資格ではないので、クリニック勤務でも十分に狙えます。
この資格を取ると、現場で何が変わるのか
透析室で働いていていちばんこたえるのは何かと聞かれたら、私は穿刺と答えます。刺さらない日が続くと消耗しますし、患者さんにも申し訳ない気持ちになります。ただ、何年か経って分かったのは、穿刺の難しさの多くが穿刺の瞬間より前の段階で決まっているということでした。
「刺せる人」ではなく「VAを守れる人」になる
狭窄が進んで血管の状態が変わってから、手技だけで何とかしようとしても限界があります。そうなる前に気づくには、理学所見(視診・触診・聴診)、エコーでの形態と血流量の確認、静脈圧や再循環の推移といった情報を、同じ基準で拾い続ける必要があります。
VA管理指導士の一次試験で問われるのは、上肢血管の解剖、VAの種類と選択、術前評価、作製後の合併症、理学所見、VAモニタリング、超音波による管理と評価、穿刺技術、感染管理、VA修復治療、VA看護と多職種連携、診療報酬と医療経済、災害時のVA管理といった範囲です。「穿刺がうまい」の周辺にあるものが、ひととおり並んだ構成になっています。
私自身がここに気づいたのは、資格でも研修でもありませんでした。院内のエコーを使ってみようと言い出してくれた上司がいて、近隣に、返書をびっしり書いて返してくれるVA専門医が赴任してきた。自分が撮ったエコーの答え合わせができる状態になって、そこで初めて評価と判断がつながった、という順番です。
ただ、これは環境に恵まれた話でもあります。エコーがあり、やってみようと言ってくれる上司がいて、フィードバックをくれる医師が近くにいた。この3つが揃っている施設ばかりではないと思います。



今のレベルまで来られたのは、正直かなり運がよかったと思っています。
エコーも上司もフィードバックをくれる先生もいない環境で、独学だけでここまで来いというのは無理があります。
協議会の「全体のボトムアップ」という言葉を見たとき、自分が偶然もらえたものを制度で配ろうとしているのだなと思いました。
OJT頼みだった学習を、体系として持ち直せる
これまでVA管理を学ぶ手段は、施設内のOJTと、学会・研究会での単発の聴講がほとんどでした。教わる内容は先輩の経験に左右されますし、施設が変われば基準も変わります。運の要素が大きい、というのは先ほど書いたとおりです。
講習会と試験勉強を通すと、「何を根拠に判断しているのか」を言語化する機会が強制的に発生します。ガイドラインや指針の該当箇所を自分で引き直す作業が入るためです。



勉強していていちばん効いたのは、新しい知識よりも今までなんとなくやっていたことに根拠がついたことでした。
後輩に「なんでそうするんですか」と聞かれたときの答えが変わります。
院内での立ち位置と、周りへの波及
VA管理の改善提案は、誰が言うかで通りやすさが変わります。エコー機器の導入、定期評価のルール化、記録様式の見直し。…どれも一人では決められません。
協議会が求める人材像の②③④(環境の整備/スタッフ・患者の教育/個々の管理計画の策定)は、この領域そのものです。取るところがゴールではなく、取ってから何をするかが問われます。
正直な話:加算にも手当にも、今は直結しない
期待を持たせたくないので先に書きます。
令和8年度診療報酬改定の告示・通知を確認した範囲では、加算の施設基準に「VA管理指導士」という資格名は含まれていません。取得したことで算定できるようになる項目は、現時点ではありません。確定した運用は厚生労働省の告示および最新の疑義解釈でご確認ください。
将来的に診療報酬と結びつく可能性は制度側でも議論されていますが、確定した話ではありません。この記事では「今は直結しない」を前提に読んでください。
取得にかかる費用は、講習会と受験料で30,000円、これに試験当日の交通費と宿泊費が乗ります(内訳は後述します)。金銭的な見返りだけで判断すると、現時点では成立しません。



それでも私が受けたのは、加算がつくかどうかより先に、自分の判断に根拠がない状態のほうが困っていたからです。
ここは人によって答えが変わるところだと思います。
VA管理指導士は誰が受けられる?受験資格と対象者
「興味はあるけれど、自分が受けていい資格なのか分からない」。この段階で止まっている方が多いと思うので、条件を先に並べます。
対象となる職種と、求められる業務実態
協議会が示している対象は、普段から透析業務に携わり、穿刺やVAモニタリング、エコーを活用してVA管理に取り組んでいる医師・看護師・臨床工学技士などです。
職種の限定はありません。条件として効いているのは、資格の種類ではなく「実際にVA管理をやっているかどうか」のほうです。
逆に言うと、検査や機器管理には関わっていても日常のVA管理をしていない場合は、想定されている対象から外れます。二次試験でVA管理レポートを5症例提出することを考えると、この線引きは実務上もそのまま効いてきます。
経験年数の条件も、施設の条件もない
ここがこの資格の大きな特徴です。
- 臨床経験〇年以上、といった年数の要件はありません
- 所属施設の規模や設備に関する要件もありません
- 指導医の推薦や、特定の学会への所属も求められていません
記事の前半で触れたとおり、VA看護管理者やCVTには年数要件や指導医のもとでの経験が課されています。そこと比べると、VA管理指導士の入口はかなり開かれています。
その代わり、判定は入口ではなく出口で行われる設計になっています。年数で足切りをしない分、二次試験のレポートで「実際にやっているか」を見る。この構造を頭に置いておくと、次の見出し以降の話がつながりやすいと思います。
事実上の必須条件は「認定講習会の受講」
受験資格でひとつだけ絶対に外せないのが、認定講習会の受講です。この講習会を受けていないと受験できません。
なお受講日から3年間は再受講が免除され、その期間内は受験資格が維持されます。
- 講習会を受けた年に受験しなくても、3年以内なら受験できる
- その年に落ちても、翌年は講習会を受け直さずに受験料だけで再挑戦できる
- 3年を過ぎると、講習会の受講からやり直しになる



3年の猶予があるので、「今年は講習会だけ受けておいて、来年受験する」という組み立ても取れます。ただ記憶が新しいうちに受験しておくほうが良いでしょうね。
申込から認定までの流れ
第1回(2026年)の実施日程をもとに、1年の動き方をまとめます。第2回以降の日程は変わりますので、時期の感覚をつかむための目安として見てください。
2026年2月15日 10:00 〜 3月15日 17:00。定員300名。オンラインフォームまたは電子メールで申込。定員に達した時点で締切となりました。
2026年4月1日〜4月30日、オンデマンド配信。会場に行く必要はありませんが、配信期間は1か月と短い上内容も多岐に渡ります。
2026年5月1日〜6月5日。受験料15,000円。
会場は連合会館。マークシート方式、80問、2時間。
一次合格者が5症例分を提出。第1回は2026年10月下旬提出予定。
第1回の認定時期は、2026年8月18日時点で公式サイトに記載がありません。レポート提出が10月下旬なので、審査を経て年内には出るものと見ています。確定したらこの記事に追記します。
日程は回ごとに変わります。最新の情報はVA管理指導士認定制度協議会の公式サイトで必ずご確認ください。この記事の日程は2026年8月18日時点で確認できた第1回の実績です。
流れを見て気づくのは、2月の申込を逃すとその年は受けられないという点です。試験が7月なので「そろそろ準備しようか」と考え始めるころには、講習会の申込はとっくに終わっています。



年明けに公式サイトを一度見る、という習慣をつけておくのが現実的だと思います。私も第1回のときは、情報を追いかけていなければ普通に見落としていたと思います。
上司への相談は、講習会の申込前に
講習会費と受験料を施設に出してもらう場合、稟議には時間がかかります。2月に申込を締め切る設計なので、年内から動き出しておくと間に合います。費用の内訳は次の見出しにまとめたので、そのまま資料に使ってください。
費用は総額いくら?
金額をまとめて示します。第1回の実績と、現時点で公表されていない部分の区別が分かるようにしました。
| 項目 | 金額 | 区分 |
|---|---|---|
| 認定講習会 受講料 | 15,000円 | 第1回の実績 |
| 受験料 | 15,000円 | 第1回の実績 |
| 試験当日の交通費・宿泊費 | 0〜50,000円 | 居住地による |
| 認定登録料 | 公表なし | 未確定 |
| 更新にかかる費用 | 公表なし | 未確定 |
初回取得までの概算は、およそ3万円台〜8万円です。幅が大きいのは交通費と宿泊費のためで、ここが金額を左右します。
第1回は講習会がオンデマンド配信だったため、遠征が必要だったのは試験当日の1回だけでした。首都圏在住なら3万円台、地方から前泊するなら7〜8万円というのがおおよその見積もりです。二次試験はレポート提出なので、もう一度上京する必要はありません。
更新にかかる費用は、まだ分からない
認定の更新は5年ごととされていますが、更新料や更新要件の詳細は公表されていません(2026年8月時点)。第1回の認定がこれから出るところなので、実際の更新が動き出すのは2031年です。
同種の認定資格では、更新時に講習会の再受講や関連団体への学会出席など単位取得を求める例が多く、費用感としては数万円になることが一般的です。ただしこれはあくまで他制度からの類推なので、VA管理指導士の金額として受け取らないでください。確定情報が出た時点でこの記事も更新します。



5年後の負担が読めないのは、正直、迷う材料になると思います。
施設に出してもらうという選択肢
講習会15,000円+受験料15,000円という水準は個人として出すには少し大きい金額ですが、病院施設側に研修費として認めてもらえる可能性は十分にあります。
稟議を通しやすくするなら、次の3点を添えると話が早いです。
- ① 施設にとっての意味
-
VA管理指導士は個人の技量証明だけではなく、施設全体のVA管理レベルを引き上げるために設けられた制度であること。協議会も「全体のボトムアップ」を目的に挙げています。
- ② 取得後の具体的な計画
-
定期評価の仕組み化、記録様式の見直し、スタッフへの勉強会など、取ったあとに何をするか。
- ③ 費用の総額と発生時期
-
上の表をそのまま使えます。講習会は2月申込・4月受講、受験料は5月なので、年度をまたぐ点も伝えておくと処理がスムーズです。



自費で受ける場合でも、「年間目標としてVA管理指導士の取得に取り組む」「取ったらVA管理の担当をやりたい」と先に伝えておくのもいいかもしれませんね。
試験内容と難易度
受験を迷っている段階でいちばん気になるのは、何が問われて、どのくらい難しいのかだと思います。第1回を受けた立場で書ける範囲をまとめます。
先にお断りしておくと、問題用紙は試験終了後に回収され、メモの持ち帰りもできません。ここで書けるのは形式と全体の傾向までです。
一次試験:マークシート80問・2時間
第1回は2026年7月12日、東京の連合会館で実施されました。形式はマークシート方式、80問、試験時間は2時間です。
出題範囲は「VAに関する専門的知識全般」とされ、受講が必須の認定講習会の内容外も含まれます。範囲の案内には上肢血管の解剖、VAの種類と特徴、合併症、理学所見、モニタリング、エコー評価、穿刺技術、VA修復・治療、多職種連携、診療報酬など10テーマが挙げられています。
これを自分が勉強しやすいように13の領域へ整理したのが次の表です。公式に13分類と示されているわけではなく、私が受験対策として区切ったものである点はご承知おきください。各行から、当ブログで公開している領域別の対策記事に飛べます。
| 出題領域 | 押さえておきたいこと | 対策記事 |
|---|---|---|
| 上肢血管の解剖 | 橈骨・尺骨動脈と橈側皮静脈・尺側皮静脈の走行、穿刺部位との対応 | 予想問題集① |
| VAの種類と選択 | AVF・AVG・動脈表在化・カテーテルの適応と優先順位、心機能との関係 | 予想問題集②a |
| 術前評価 | 身体所見と超音波による血管径・血流の評価 | 予想問題集②b |
| 作製後の合併症 | 狭窄・閉塞・感染・スチール症候群・静脈高血圧症・瘤 | 予想問題集③ |
| 理学所見 | 視診・触診・聴診の手順と、所見から狭窄部位を推定する考え方 | 予想問題集④ |
| VAモニタリング | 上腕動脈血流量・再循環率・静脈圧の基準値と、経時変化の追い方 | 予想問題集⑤ |
| 超音波による管理と評価 | FV・RIの測定方法、短軸と長軸の使い分け、狭窄の判定 | 予想問題集⑥ |
| 穿刺技術 | 穿刺部位の選択、エコー下穿刺、トラブル時の対応 | 予想問題集⑦ |
| 感染管理 | 消毒薬の選択と作用時間、カテーテル感染への対策 | 予想問題集XI |
| VA修復治療 | VAIVTの適応・手技・合併症、外科的修復との使い分け | 予想問題集⑧ |
| VA看護と多職種連携 | 患者指導、シャント音の自己管理、職種間の役割分担 | 予想問題集⑨ |
| 診療報酬と医療経済 | VA関連の算定要件と、令和8年度改定での変更点 | 予想問題集⑩ |
| 災害時のVA管理 | 停電・断水時の返血手順、避難生活での穿刺部管理(※第一回試験では出題なし) | 予想問題集XII |
見ていただくと分かるとおり、穿刺そのものは13分の1です。残りは、穿刺の手前にある評価と、その先にある管理と連携で占められています。



勉強を始めたときに「思っていたより穿刺の話が少ない」と感じました。
そこで初めて、この資格が何を測ろうとしているのかが腑に落ちた気がします。
二次試験:5症例のVA管理レポート
一次試験に合格した人だけが二次試験に進みます。二次はVA管理レポートの審査で、5症例分を提出します。
要件として示されているのは次の2点です。
- 患者氏名や年齢などの個人情報を完全に匿名化すること
- 受験者本人が評価・作成に関与したことが確認できる内容であること
第1回の提出時期は2026年10月下旬の予定です。
受験資格に施設の条件はありませんが、2つめの要件が実質的なハードルになります。そもそも院内にエコーがないとレポートが提出できません。
さらに日頃から自分でVAを診て記録を残していないと、5症例を書き起こすのは難しいでしょう。一次試験の結果が出てから症例を集め始めると、かなり慌ただしくなります。
受験を決めた時点から、担当したVAの記録を残しておくことをおすすめします。エコー所見、理学所見、そのとき何を根拠にどう判断して、結果どうなったか。この4点が揃っていれば、そのままレポートの材料になります。
難易度と合格率──第1回の合格者は162名
先に結論を書きます。第1回試験の合格率は公表されていません(2026年8月18日時点)。協議会が出したのは合格者162名という数字と、合格者の受験番号一覧だけです。
ただ、その受験番号一覧から分母をある程度まで絞り込めます。
- 合格者は162名(合格発表PDFの末尾に「以上 162 名」と明記)
- 合格者の受験番号は 26-001 から 26-271 まで。つまり少なくとも271名分の受験番号が発行されている
- 受験できるのは認定講習会の受講者だけで、その定員は300名。申込者は多く見ても300名を超えない
分母を271〜300とすると、合格率は162÷300=54.0%から162÷271=59.8%のあいだに収まります。当日の欠席者を除いた実受験者ベースなら、ここからもう少し上がります。私が見た範囲でも空席は数席ありました。
X(旧Twitter)では「受験者の上位6割が通ったのではないか」という見方も出ていました。上の推定と矛盾しない数字ではあります。ただし合格基準が上位何%の相対評価なのか、何点以上の絶対評価なのかは公表されていません。ここは憶測の域を出ません。



X上でも、腕を認められている方から不合格の報告が続きました。
そう言っている私も落ちています。
あの日あの会場に集まったのは、VA管理に相当な自信を持って全国から出てきた人たちです。そこで4割前後が落ちる試験だった、というのは正直重いですね。
私の見立ては、実受験者ベースで55〜60%前後。第2回以降で受験者数が公表されれば、ここは書き直します。


そのうえで、受けた実感として書けることを挙げます。
- 用語の暗記だけでは解けません。基準値やガイドラインの推奨を根拠に選ばせる問題が中心でした
- 理学所見、エコー評価、狭窄・閉塞への対応、感染管理のあたりが厚めです
- 軸はあくまで「VA評価・管理の基本」です。奇をてらった出題ではありませんが、範囲は広いです



正直に言うと、思っていたより難しかったです。
普段VA管理をやっている人なら無勉強でも、というレベルではありませんでした。
第2回以降を検討している方へ。出題傾向の情報は、第1回の受験者が書いたものがこれから少しずつ出てくる段階です。まとまった対策情報が揃うのを待っていると、2月の講習会申込に間に合いません。
試験当日の流れは受験記のほうに書いています
会場の様子、時間配分、持ち物、講習会からの逆算スケジュールといった当日まわりの話は、受験記のほうに詳しく書きました。実際に受ける段階になったら、こちらのほうが役に立つと思います。
試験対策に向けての参考書や資料
公式テキストは存在しない
「VA管理指導士 テキスト」で探している方が多いようなので、ここも先に書いておきます。2026年8月時点で、協議会が発行する公式テキストや公式問題集はありません。過去問も非公開です。
対策の材料になるのは、受講が必須の認定講習会と、自分で当たる一次資料の2つです。第1回の受験者は全員この条件で受けています。
認定講習会はWeb配信で、公開期間が1か月に満たない設定でした。申し込んだら、まず視聴計画を先に立ててしまうことをおすすめします。
まず開くべき一次資料
範囲が広いぶん、拠りどころを決めておくと迷いません。私が軸にしたのは次の3つです。
- 日本臨床工学技士会『臨床工学技士のためのバスキュラーアクセス日常管理指針(改訂第2版)』── 日常管理の基準はここが軸になります。2026年に改訂されているので、旧版をお持ちの方は差し替えてください
- 日本透析医学会『慢性血液透析用バスキュラーアクセスの作製および修復に関するガイドライン』── 適応・基準値・治療方針の根拠を確認するときに
- 厚生労働省 令和8年度診療報酬改定の告示・通知 ── VA関連の算定要件まわり
通読しようとすると挫折します。先ほどの13領域ごとに、基準値と、推奨されている対応の2つを拾っていく読み方が現実的でした。
予想問題と直前模試
当ブログでは、13領域それぞれの予想問題を公開しています。もともと自分が受験するために作ったものを、そのまま出しているものです。アウトプットの機会が他にないので、力試しに使ってください。




関連書籍
一次資料だけだと絵が浮かびにくい部分は、書籍で補いました。
VA管理 関連書籍
よくある質問
- VA管理指導士とは何ですか?
-
バスキュラーアクセス(VA)の日常管理を担う医療者を認定する資格です。VA管理指導士認定制度協議会が、多くの施設で適正なVA管理が行われるよう全体のボトムアップを図る目的で設けました。第1回の認定講習会が2026年4月、一次試験が同年7月に実施されています。医師・看護師・臨床工学技士など、職種を限定せずに受験できます。
- VA管理指導士は診療報酬で加算されるのでしょうか?
-
2026年8月時点では加算されません。令和8年度診療報酬改定の告示・通知を確認した範囲でも、施設基準に「VA管理指導士」という資格名は含まれていません。取得によって新たに算定できる項目は、現時点ではないという理解でお願いします。将来的な扱いについては制度側でも議論されていますが、確定した情報ではありません。最新の運用は厚生労働省の告示および疑義解釈でご確認ください。
- 第1回の合格率はどのくらいでしたか?
-
合格率は公表されていません。公表されたのは合格者162名という数字と、合格者の受験番号一覧だけです(2026年8月18日発表)。ただし合格者の受験番号が26-001から26-271まで並んでいること、受験の前提となる認定講習会の定員が300名であることから、合格率は54.0%〜59.8%の範囲と推定できます。当日の欠席者を除いた実受験者ベースでは6割前後になると考えられます。
- 予想問題や過去問はありますか?
-
協議会が公開している過去問はありません。公式テキストや公式問題集も、2026年8月時点では発行されていません。当ブログでは、私自身が受験のために作った予想問題を出題領域ごとに公開しています。直前模試もありますので、力試しに使ってください。
- いつから認定されるのですか?
-
一次試験(筆記)に合格したあと、二次試験のVA管理レポート審査を経て認定されます。第1回は2026年8月18日に一次試験の合格発表があり、合格者は162名でした。レポート提出は同年10月下旬の予定です。認定の時期は2026年8月18日時点で公表されていません。確定次第、この記事に追記します。
- 臨床経験が浅くても受けられますか?
-
経験年数の要件はありません。ただし二次試験でVA管理レポートを5症例分提出する必要があるため、自分でVAを評価して記録を残せる立場にあるかどうかが実質的な条件になります。受験を考えている段階から、担当したVAの所見と判断を記録しておくことをおすすめします。
- 看護師でも取れますか?
-
取れます。対象は医師・看護師・臨床工学技士などとされており、職種の限定はありません。なお看護職向けにはVA看護管理者(日本臨床腎臓病看護学会)という別の認定もあります。こちらは正看護師限定で、臨床5年以上・血液透析看護3年以上・VA穿刺2年以上という要件があり、患者・家族へのケアに重心が置かれています。両者は競合するというより、見ている範囲が違う制度です。
- 不合格だった場合、翌年また講習会から受け直しですか?
-
認定講習会は、受講日から3年間は再受講が免除され、その期間内は受験資格が維持されます。3年以内であれば受験料15,000円のみで再挑戦できます。3年を過ぎると講習会の受講からやり直しです。私自身が第1回の一次で不合格だったので、この枠を使って第2回を受ける予定です。
- 地方に住んでいると不利ですか?
-
第1回に関しては、講習会がオンデマンド配信だったため、現地に行く必要があったのは試験当日のみでした。負担は交通費と宿泊費に限られます。受験資格に施設の要件がないので、勤務先の規模や地域で門前払いになることはありません。
- 更新はありますか?
-
5年ごとの更新とされていますが、更新料や更新要件の詳細は2026年8月時点で公表されていません。第1回の認定がこれから出るところなので、実際に更新が動き出すのは2031年です。
まとめ
- VA管理指導士は、施設全体のVA管理レベルを引き上げるために作られた認定資格
- 受験資格に経験年数の要件も施設の要件もない。必須なのは認定講習会の受講のみ
- 講習会は受講日から3年間有効。定員があり、第1回は締切前に充足
- 一次はマークシート80問、二次は5症例のVA管理レポート
- 第1回一次試験の合格者は162名。合格率は非公表だが、受験番号から54〜60%前後と推定できる
- 費用は初回でおよそ3万円台〜8万円。診療報酬や資格手当には、今のところ直結しない
VA管理は、透析室でいちばん毎日触れているのに、いちばん体系的に習う機会がなかった領域だと思います。この資格は、そこに共通のものさしを持ち込むために作られました。
取得しても加算はつきませんし、手当が保証されているわけでもありません。それでも受ける意味があるとすれば、自分の判断に根拠を持てることと、その根拠を施設の仕組みに変えていける立場が得られることだと考えています。
私は第1回で落ちました。それでも講習会から試験までの半年で、自分がVAの何を見ていなかったのかははっきりしました。受かった人だけが得をする資格ではないと思っています。



「刺せる人」から「VAを守れる人」へ。
私自身、勉強してみていちばん変わったのは、後輩に「なぜそうするのか」を説明できるようになったことでした。
出題領域ごとの対策記事と、第1回の受験記も公開しています。次のステップにお使いください。


- 2026年8月18日:第1回一次試験の合格発表を受けて更新。
合格者162名という事実と、受験番号から推定した合格率を追記 - 2026年8月2日:「VA管理指導士とは?受験資格・費用・試験内容を第1回受験者が解説」として全面改稿。受験資格・スケジュール・費用・試験内容・試験対策を追加
- 2026年4月27日:試験申し込み期間などを更新
- 2026年2月15日:第1回認定講習会の申込開始にともない情報を更新
- 2025年11月20日:「VA管理指導士について 取得に関してのコストや意義」として記事投稿
- 2024年10月6日:旧記事「VA日常管理指導士について」公開
- VA管理指導士認定制度協議会「VA管理指導士とは」「認定試験について」「認定講習会」
- VA管理指導士認定制度協議会「第1回VA管理指導士認定試験 一次試験(筆記試験)合格者」(2026年8月18日)
- 公益社団法人 日本臨床工学技士会「臨床工学技士の業務範囲追加に伴う厚生労働大臣指定による研修」
- 厚生労働省「現行制度の下で実施可能な範囲におけるタスク・シフト/シェアの推進について」(医政発0930第16号、2021年9月30日)
- 公益社団法人 日本臨床工学技士会 バスキュラーアクセス管理委員会『臨床工学技士のためのバスキュラーアクセス日常管理指針(改訂第2版)』
- 一般社団法人 日本透析医学会『慢性血液透析用バスキュラーアクセスの作製および修復に関するガイドライン』
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定」告示・通知
- 一般社団法人 日本臨床腎臓病看護学会「VA看護管理者」/血管診療技師認定機構「血管診療技師認定資格 取得方法」
















コメント