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呼吸療法シリーズ 呼吸機能検査①

本記事では「呼吸機能検査」を解説したいと思います。

呼吸療法に必要な肺活量などの正常値などを解説したいと思います。略記号や数値が非常に多く覚えるのが大変ですが頑張りましょう。

筆者の記事では、何度も繰り返し調べて欲しい、反復して覚えて欲しいという思いから、略語などは一度だけ正式名称と共に記載するだけで、その記事内では以降は略語表記のみとします。

目次

呼吸機能と検査

肺機能検査は肺における酸素と二酸化炭素のガス交換効率を検査するのが目的となります。

肺機能検査で検査するのは換気機能換気血流比(ガス換気と肺循環の相関)、ガス交換能などです。特に換気量と換気効率が基本の検査項目となり、その他にコンプライアンス、気道抵抗、呼吸抵抗、拡散能などの検査項目があります。

しかし、基本的には健常者へは行わず、何かしらの呼吸疾患を疑っている患者さんへ実施する検査のため、それなりの負担がかかりますので、日常的に実施される検査ではありません。

呼吸器系形態

気道系

詳しくは同シリーズの「呼吸療法に必要な解剖生理①」をご参照ください。

気道は口及び鼻から終末細気管支までのことであり、ガス交換に関与せず解剖学的死腔と呼ばれ、成人で約150mLあります。終末細気管支から吸入気流速度は激減し、呼吸細気管支領域からは吸入気は淀みやすく粉塵などはこの呼吸細気管支領域に沈着しやすいです。

また、気道は末梢ほど抵抗が小さく、末梢領域の障害は検出されにくいです。この末梢気道病変はsmall airway diseaseと呼ばれ、慢性閉塞性肺疾患(COPD)を発症に繋がります。

血管系

こちらも詳しくは同シリーズの「呼吸療法に必要な解剖整理②」をご参照ください。
肺にはガス交換に関わる肺動脈/肺静脈系と気管支へ栄養している気管支動脈/気管支静脈系があり、両者は独立して存在します。

しかし、一部の生理学的シャントを除けば肺疾患を患ってくると、このシャント量が増加してきます。肺動静脈系は気管支動静脈系より低圧系であり、血管抵抗も小さく、血管壁が薄いです。シャント量が増えるとガス交換効率が低下してきます。

肺機能検査に用いられる略記号

同シリーズ「序章」でも略記号をご紹介しましたがルールは同じです。表は呼吸療法シリーズ「呼吸療法の基本」をご参照ください。

非常に多岐にわたる略記号が存在し、単位時間当たりの変化を示す「・(ドット)」も良く出てきます。

気体の状態

気体というのは、温度、圧力、水蒸気圧などの条件により様々な容積へ変化します。検査値は条件を一定にする必要があり、主に3種類の状態で示されます。

BTPS(Body Temperature, ambient Pressure, Saturated with water vapor)

BTPS体温37℃で測定時の気圧下で水蒸気飽和された状態です。この状態は、期待が肺内に存在する状態であり、肺気量分画や換気量など多くの検査値へ適用されます。

【補足】
ATPSからBTPSへの換算は、BTPS係数を掛けると求められます。
BTPS係数は室温25℃では1.075、室温37℃なら1.000です。
BTPS係数はボイル・シャルルの法則にて求めることが可能です。

STPD(Standard Temperature, standard Pressure and Dry)

STPD標準温度0度、標準気圧1気圧(760mmHg)、水蒸気ゼロの乾燥した状態です。酸素摂取量、二酸化炭素排出量、拡散能などがこの状態で表されます。

【補足】
ATPSからSTPDへの換算は、気圧760mmHg、室温25℃では0.883を掛け、STPDからBTPSへの換算は、気圧760mmHgでは1.210を掛けると求められます。

ATPS(Ambient Temperature, ambient Pressure, Standard with water)

ATPS測定時の室温、大気圧、水蒸気飽和された状態です。

気量型スパイロメータ、ライトレスピロメータ、ベンチレータによる測定値がATPSで表されています。

肺気量分画

さて、国試で良く出題されるのがこの肺気量分画で、図ごと覚えてください。

ただし、スパイロメータでは機能的残気量と残気量、全肺気量は測定できないことに注意してください。

肺気量分画
廣瀬稔, 生駒俊和「臨床工学講座 生体機能代行装置学 呼吸療法装置」p.31, 医歯薬出版

標準基準位置

  • 安静吸気位(基準位)
    安静呼吸の呼気終末の位置で、胸郭の拡張圧と肺弾性収縮圧が均衡のとれた基準位。

  • 安静吸気位
    安静呼吸をしているときの吸気終末の位置。

  • 最大吸気位
    可能なだけ大きく吸入したときの吸気終末の位置。

  • 最大呼気位
    可能なだけ大きく呼出したときの呼気終末の位置。

肺気量分画の定義

  • 1回換気量(Vt:tidal volume)
    呼吸周期毎に吸入または呼出されるガス量。
    成人では500[mL]です。※頻出です。
  • 残気量(RV:residual volume)
    最大限に呼出を行っても肺内に残っているガス量。
  • 全肺気量(TLC:total lung capacity)
    最大限に吸気を行ったときの肺内のガス量。
  • 肺活量(VC:vital capacity)
    1回の吸入または呼出により肺から出入しうる最大ガス量。
  • 予備吸気量(IRV:inspiratory reserve volume)
    安静吸気位から吸入しうる最大のガス量。
  • 予備呼気量(ERV:expiratory reserve volume)
    安静呼気位から呼出しうる最大のガス量。
  • 機能的残気量(FRC:functional residual capacity)
    安静呼気位における肺内ガス量。※頻出です。
  • 最大吸気量(IC:inspiratory capacity)
    安静呼気位から最大限に吸入しうるガス量。

図より様々な関係式が導けます。

肺活量=1回換気量+予備吸気量+予備呼気量
機能的残気量=予備呼気量+残気量 ※頻出です。
残気量=全肺気量ー肺活量

・・・などが挙げられます。

測定項目と基準値

項目基準値項目基準値
%肺活量80%以上死腔換気率0.2~0.3
1秒率70%以上シャント率2~5%
残気率30%以下ガス交換率0.8
CV/VC15%以下呼吸商0.8
%DLCO70%以上換気血流比0.8
静肺コンプライアンス0.1~0.3[L/cmH2O]PaCO235~45[mmHg]
気道抵抗0.6~2.4[cmH2O/L/s]PaO280~100[mmHg]
呼吸抵抗1.8~2.8[cmH2O/L/SA-aDO25~10[mmHg]
呼吸機能検査の検査項目と基準値

最後に

以上で、肺機能検査に関わる内容でした。今回の内容は、かなりまとめた上に全て重要なため、まとめの項は無しとさせていただきます。次回テーマも「呼吸機能検査」とします。

続きの記事はこちら

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この記事を書いた人

職歴
現大学病院勤務
取得資格
臨床工学技士(CE)、ITE 心血管インターベンション技師、ME1種検定試験

得意領域
カテーテル、アフェレシス、内視鏡、機器管理

大学病院での幅広い勤務実績をもとに、臨床工学技士業務全般執筆しております。
1児のパパでもあり、子育て情報も発信していけたらと思います。

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