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【HDF vs HDはどっちが良い?】予後比較の新たなRCT ー CONVINCE trial(2023) ー

この記事は、高効率血液透析(high – flux HD)と高用量血液透析濾過(high-dose HDF)の違いによる腎不全患者の生命予後に関する大規模ランダム化比較試験(RCT)、CONVINCE trialの結果を日本語に翻訳して紹介しています。

目次

はじめに

最新の血液透析と血液透析濾過のRCT

昨今、血液透析濾過(on-line HDF)の置換液量比較や、血液透析濾過と血液透析(HDFとHD)との比較による生命予後についての研究が進められていますが、大規模なRCT(ランダム化比較試験)は意外と少ないのです。

そして、本記事執筆時の2024年2月時点において、最新ともいえる大規模RCTの報告が2023年に発表されたのです。

今回は、血液浄化に関する文献紹介を丸々1本したいと思います。

The new england journal o f medicine(NEJM) とは

文献を紹介される前に、本文献が掲載されている医学雑誌について簡単にご紹介します。

The new england journal o f medicine(NEJM)は、医学界のトップジャーナルとして、世界で最も権威のある週刊総合医学雑誌の一つです。

それ故に、情報源の媒体としては優れていると高い評価を受けている雑誌でもあります。

採用される論文の内容は”未掲載である”という条件があり、その中でも信頼できる報告が掲載されるようです。

日本語版のサイトもあるので利用したいところですが・・・ただ、残念なことに、有料なのです

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CONVINCE trialについて

CONVINCE trialとは

「Effect of Hemodiafiltration or Hemodialysis on Mortality in Kidney Failure」
Peter J. Blankestijn, M.D et al, for the CONVINCE Scientific Committee Investigators
June 16, 2023, N Engl J Med 2023;389:700-9.DOI: 10.1056

「Effect of Hemodiafiltration or Hemodialysis on Mortality in Kidney Failure」

Peter J. Blankestijn, M.D et al, for the CONVINCE Scientific Committee Investigators
June 16, 2023, N Engl J Med 2023;389:700-9.DOI: 10.1056

では、今回ご紹介するのが「CONVINCE trial」と呼ばれる文献です。

日本語に直すと

HDF及びHDが腎不全患者の死亡率へ及ぼす影響

となります。

ザックリし過ぎていますので、もう少し詳しく説明すると、

high – dose HDFとhigh – flux HDでの予後の比較

という研究報告になります。

・・・「英語ばかり並べるな」ということで、易しく説明すると、

  • high – dose HDF → 高用量、大量置換液でのHDF
  • high – flux HD  → 高効率のHD

のどちらが予後に有用かという比較の研究です。

【参加国は?】
CONVINCE trial protorolには9ヶ国70施設へ参加募集を掛けていると記載がありましたが、CONVINCE trialの報告には8ヶ国61施設となっており、おそらくポーランドが参加辞退という形かと思われます。
内訳は、フランス、ドイツ、ハンガリー、ポルトガル、ルーマニア、スペイン、オランダ、イギリス、(ポーランド)となっています。

CONVINCE trial protocol

「Benefits and harms of high-dose haemodiafiltration versus high-flux haemodialysis: the comparison of high-dose haemodiafiltration with high-flux haemodialysis (CONVINCE) trial protocol」, Peter J. Blankestijn, M.D et al, MJ Open 2020; 10(2): e033228.

「Benefits and harms of high-dose haemodiafiltration versus high-flux haemodialysis: the comparison of high-dose haemodiafiltration with high-flux haemodialysis (CONVINCE) trial protocol」

Peter J. Blankestijn, M.D et al, MJ Open 2020; 10(2): e033228.

このCONVINCE trialの方向は、2段階構成となっております。

「CONVINCE trial protocol」というCONVINCE trialのプロトコルに関しての報告となっています。

日本語では、

ESKD患者における、high – dose HDFとhigh – flux HDのリスクベネフィットを評価するRCTである「CONVINCE trial」の研究計画

・・・といったところでしょうか。

こちらの文献は一般無料公開されていますので、ご興味ありましたら下記よりどうぞ。

あわせて読みたい

ESKD(End-stage Kidney Disease):末期腎不全 ※いわゆる、CKD stage5

Moegi

できるだけ皆さんに分かりやすく伝えるために、不自然な直訳にならないように努めます。

本文献を参考する上での注意点

海外文献を読む際の注意点

海外の血液浄化における文献を読む上で注意しなければならないことがあります。

それは治療の条件です。

やはり、日本人は欧米諸国の方々と比較すると体格が小さいです。

そのため、血流量(QB)を300[mL/min]程度まで、日本の患者全員が確保できるわけではありません。
また、アルブミン(ALB)の低さの観点からも前希釈のon-line HDF(pre-dilution OHDF)が日本では主流となっている要因となります。

一方、海外ではQBを確保できることもあり、後希釈のon-line HDF(post-dilution OHDF)が多く利用されていることが海外論文を読む上で留意していただくポイントとなります。

後ほども言及しますが、下図の通り体格に関しては、両群BMI 27.4%程度、BSA 1.86[m2]程度と大柄であり、QBは370[mL/min]前後も確保されているようです。

体格とQB「Effect of Hemodiafiltration or Hemodialysis on Mortality in Kidney Failure」
Peter J. Blankestijn, M.D et al, for the CONVINCE Scientific Committee Investigators
June 16, 2023, N Engl J Med 2023;389:700-9.DOI: 10.1056

ランダム化比較試験(RCT)についておさらい

RCTについても念のため触れておきます。

皆さんがエビデンスを求める際に、「この件についてのRCTはありますか?」と言われるあの”RCT”です。

ランダム化比較試験RCT(randomized controlled trial)と呼ぶのですが、通常群と対照群への割り付けを無作為に振り分けを行って、その治療経過のデータ収集を行い分析する研究です。

何故、ランダム化が必要かということですが、例えば、ある疾患の治療をするにあたって、従来の治療法と新規治療法の比較研究があったとします。患者100人を従来群と新治療群にそれぞれ50人ずつ振り分けるとします。

仮に治療担当医が適当に振り分けをしたとすると、何からのバイアスが生じることになります。
例えば、男女比が偏っている、重症度が偏っている、年齢層が偏っている・・・などです。

通常群と対照群への割り付けをランダム化することでバイアスをできるだけ公平にするといったことが可能となり、よりoutcomeの信頼性を向上させられます。

そして、通常群と対照群の人数が多いほど信頼度が高まるのです。

また、RCTでは盲目化されている方が、よりバイアスが均等化されるのでエビデンスレベルが高くなります。
患者と介入者(医師)へ共に盲目化されているRCTをDBRCT(double blind RCT)と呼びます。

Moegi

「”大規模”RCTだ」と強調するのは、良い論文が出たぞ!!という感じでしょうか。

CONVINCE trialの目的や諸条件、目標

CONVINCE trialの目的

CONVINCE trialの目的は、本文中に以下のように記載されています。

  1. To evaluate the comparative efficacy of high-dose HDF and high-flux HD on all-cause and cause-specific death, fatal and non-fatal cardiovascular events, all-cause and cause-specific hospitalizations.
  2. To evaluate the effect of high-dose HDF versus high- flux HD on patient-reported outcomes (PROs), particularly health-related quality of life.
  3. To conduct a cost-effectiveness analysis for the two treatment modalities.

  • high-dose HDFとhigh-flux HDにおける全死亡率及び特定の疾患による死亡率、致死的/非致死的な心血管イベント、あらゆる原因における入院期間または特定の疾患が原因の入院期間に対する有効性の比較検討する
  • high-dose HDFとhigh-flux HDにおける患者報告アウトカム(PRO)、特に健康に関するQOLに対する効果を評価すること
  • 2つの治療に関して、費用対効果分析をすること

当研究のランダム化の割付けについて

先ほどRCTの説明をしたところで、CONVINCE trialのランダム化割付けを説明します。

対象期間は2018年11月から2021年4月であり、1360名の患者を1:1でランダム化割り付けが行われ、high – dose HDF群683名high – flux HD群677名となりました。

ランダム化の割付け:「Effect of Hemodiafiltration or Hemodialysis on Mortality in Kidney Failure」
Peter J. Blankestijn, M.D et al, for the CONVINCE Scientific Committee Investigators
June 16, 2023, N Engl J Med 2023;389:700-9.DOI: 10.1056
割り付けグループ
  • high – dose HDF群 → 683名
  • high – flux HD群  → 677名

治療条件は?

注目の治療条件ですが以下の通りです。

患者のベースラインデータも示しておきます。

患者ベースラインデータ:「Effect of Hemodiafiltration or Hemodialysis on Mortality in Kidney Failure」
Peter J. Blankestijn, M.D et al, for the CONVINCE Scientific Committee Investigators
June 16, 2023, N Engl J Med 2023;389:700-9.DOI: 10.1056

high – dose HDF群

high – dose HDF群の治療条件として、本文中に以下のように述べられています。

The trial inter- vention was high-dose hemodiafiltration with on-line production of substitution fluid and ultra- pure bicarbonate-based dialysis fluid at a con- vection volume of at least 23 liters per session in postdilution mode.

Convection volume (i.e., total ultrafiltration volume) is the sum of the substi- tution volume and the net ultrafiltration volume (i.e., the treatment-induced weight loss as calcu- lated to estimate dry weight). 

本試験では、on-line HDF(post-dilution:後希釈)、超純水重炭酸透析液にて23[L/session]以上を置換液とする条件とする。

なお、CV(convection volume ≒ 総限外濾過量)は、置換液量と除水量の合計を示している。

というわけで、条件的にはシンプルですが、前述の通り日本ではまず無いであろう設定となります。

high – dose HDF群の設定
  • モード:on-line HDF(post-dilution) ※後希釈
  • QB:369±54[mL/min] ※概ね300~400[mL/min]
  • 置換液量:23[L/session]以上
  • 治療時間(中央値):240[min/session]

ちなみにですが、CONVINCE trial protocolにQB-治療時間-分離率の早見表が掲載されています。

緑色でチェックされている部分が置換液23[L/session]以上となる組み合わせです。

治療条件早見表:「Effect of Hemodiafiltration or Hemodialysis on Mortality in Kidney Failure」
Peter J. Blankestijn, M.D et al, for the CONVINCE Scientific Committee Investigators
June 16, 2023, N Engl J Med 2023;389:700-9.DOI: 10.1056

high – flux HD群

high – flux HD群の治療条件について、本文中に以下のように述べられています。

The comparison group received conventional hemodialysis by means of high-flux dialysis membranes and ultrapure bicarbonatebased dialysis fluid.

※The control group will receive high-flux HD using high-flux dialysis membranes and ultrapure bicarbonate-based dialysis fluid as standard of dialysis care.

対象群であるhigh-flux HD群では、high-flux ダイアライザと超純水重炭酸透析液を用いて従来通りのHDを受けた。

※CONVINCE trial protocolにも「標準設定のHD」を実施したと記載あり。

残念ながら本文献にはQDの記載がありませんでした。

別の海外文献を参考にしても、単純にQBの2倍で算出したとしてもQD700~800[mL/min]あたりであると推測されます

ただし、浄化量の指標として、Kt/Vが1.4以上ということが条件にあるようです

よって、high – flux HD群の治療条件は以下の通りです。

high – flux HD群の設定
  • モード:HD
  • QB:367±56[mL/min] ※概ね300~400[mL/min]
  • 予想QD:700~800[mL/min]
  • 治療時間(中央値):240[min/session]
  • Kt/Vは1.4以上が対象。

Peter J Blankestijn for the CONVINCE study groupのスライド資料より抜粋

Outcome

primary outcomesecondary outcomeを次に示します。

primary outcome

“The primary outcome was death from any cause.”

→ 全死亡率

secondary outcome

“Key secondary outcomes were cause-specific death, a composite of fatal or nonfatal cardiovascular events, kidney transplantation, and recurrent all-cause or infectionrelated hospitalizations.”

→ 特定の疾患による死亡率、致死的及び非致死的心血管イベントの合併、腎移植、感染や全ての何らかの原因による再入院

【primary outcomeとsecondary outcomeって?】
“outcome”自体は「研究によって得られた臨床的結果」のことを示します。
要は何を求めたくてこの研究をするのかということです。

1番求めたい結果を”primary outcome”、副次的に求まる結果を”secondary outcome”、あまり見かけませんが三次的に求めたいものを” tertiary outcome”と言います。

CONVINCE trial 生命予後比較の結果は?

outcomeを示したので、早速結果を発表したいと思います。
というよりも、読者の皆様はこの結果を知りたいわけですから。

下図がoutcomeです。そのうち、主なものだけ紹介します。

outcome一覧:「Effect of Hemodiafiltration or Hemodialysis on Mortality in Kidney Failure」
Peter J. Blankestijn, M.D et al, for the CONVINCE Scientific Committee Investigators
June 16, 2023, N Engl J Med 2023;389:700-9.DOI: 10.1056

primary outcome ― 全死亡率 ―

primary outcomeの全死亡率ですが、high – dose HDF群が17.3%、high – flux HD群が21.9%となりました。

high – dose HDF群とhigh – flux HD群との全死亡率はHR(Hazard Ratio:ハザード比)0.77[95% CI, 0.65~0.93:P=0.005]ということで、high – dose HDF群の方が死亡リスクが低いという有意差が出たのです。

元々心血管疾患の既往歴があると死亡リスクのHRは0.99[95% CI, 0.76~1.28]であり有意差は無かったが、心血管疾患の既往歴が無い場合は死亡リスクのHRは0.58[95% CI, 0.42~0.79]と有意差が出たのです。
糖尿病の有無に関しても同様の有意差が出ています。

ちなみに総死亡266人の内、25.6%(68人)が心血管疾患、9.8%(26人)がCOVID19、21.1%(56人)がその他感染症でした。

:「Effect of Hemodiafiltration or Hemodialysis on Mortality in Kidney Failure」
Peter J. Blankestijn, M.D et al, for the CONVINCE Scientific Committee Investigators
June 16, 2023, N Engl J Med 2023;389:700-9.DOI: 10.1056

【”95% CI”とは】
95%信頼区間(95% CI:confidence interval)というものですが、95%の確率で推定される母平均へ含まれることを意味します。仮に100回の実験をしたときに、95%は想定内の結果となる、逆に言うと5回は失敗する(推定していない結果となる)ことを意味します。

“95% CI, 0.65~0.93″のような表記をしますが、重要なのは”1.00″を跨ぐか跨がないかです。
先程の全死亡率は、95% CI, 0.65~0.93ということで”1.00″を跨いでいないため有意となります。

心血管疾患の既往歴がある死亡リスクでは、95% CI, 0.76~1.28と示しましたが、”1.00″を跨いでいるので有意では無いということです。

もう一度言います、”1.00″を跨ぐか跨がないかがポイントです。

下図の死亡リスクの結果において、点線の”1.00″を跨いでいるかどうかで判断してみてください。

Moegi

P値もそうですが、統計は難しいですね。

secondary outcome

secondary outcomeについてはサラッと結果だけ示します。

secondary outcome
  • 心血管疾患死亡リスク:HR 0.81[95% CI, 0.49~0.13] → 有意差無し
  • 致死的及び非致死的心血管疾患イベント:HR 1.07[95% CI, 0.86~1.33] → 有意差無し
  • 感染症死亡リスク(COVID19含む):HR 0.69[95% CI, 0.49~0.63] → high-dose HDF群が有意にリスク低い
  • 再入院率:HR 1.11[95% CI, 0.98~1.25] → 有意差無し
  • 感染関連入院(COVID19含む):HR 1.06[95% CI, 0.86~1.30] → 有意差無し
  • 感染関連入院(COVID19含まない):HR 0.97[95% CI, 0.74~1.26] → 有意差無し
Moegi

感染の項目があるのは、透析液の水質と関係があるかを確認するためですね。

limitation

CONVINCE trialにおけるlimitationを本文より抜粋します。

” Information about co-medications, given that pa- tients with ESKD have often comorbidities, will be collected during follow-up.”

→ ESKD患者は合併症が多いので、follow up期間中の併用薬が多いことに注意が必要で、使用薬に関しても情報収集をしている。

“Since all the patients had stage V disease, the trial population had a wide variety of frequent adverse events. Thus, the ethics com- mittee approved our request to restrict the report- ing of adverse events only to serious events regard- ing the primary and secondary outcomes. Findings with respect to patient-reported outcomes and cost-effectiveness are not reported here.”

→全患者がCKD stage Vであったこともあり、RCT対象患者は高頻度で多様な合併症を有していたため、primary outcomeとsecondary outcomeに関わる重要な項目のみに限定して報告する本報告では費用対効果に関しては報告しない

“Our achieved sample size was lower than we originally calculated because of the Covid-19 pandemic and difficulties in recruitment during lockdowns.”

→ COVID19によるパンデミックとロックダウンの影響で、当初の想定よりもサンプル数が少なくなった

“The lower mortal- ity can be partly attributed to selection by the treating physician to enroll patients who were likely to reach a convection volume of at least 23 liters during each session, an indication that these patients had relatively good vascular access.”

→ 死亡率に関する有意差が出たのは、そもそもhigh-dose HDFの23[L/session]をするために十分なQBが得られるであろうバスキュラアクセスを持っている患者を選んだバイアスがある可能性が考えられる

“However, our inclusion criteria may have resulted in a trial population that was healthier than the general hemodialysis population in Europe1 and in the United States24 (Section S8). Also, we did not collect data regarding race or ethnic group among our European patients, so our findings may not be generalizable to non- White patients with kidney failure.”

→ ヨーロッパ人の人種や民族に関するデータは今回収集していないため、非白人患者では今回の結果を適用できないかもしれない

【limitationとは?】
“限界”や”制限”という意味の通り、研究する上での限界点や制限のことです。
このlimitationの影響で、正確なoutcomeが出ていない可能性を示唆するものです。

例えばこのCONVINCE trialでは、想定よりも患者サンプル数が確保できなかったことが、データの信頼性に影響するかもしれないということです。

Results
  • high – dose HDF群の方が有意に全死亡率が低下した。
  • ただし、心疾患や糖尿病の既往があると、死亡率には有意差が無い
  • 感染症死亡リスク(COVID19含む)もhigh-dose HDF群が有意にリスク低い

本結果を日本人に適用する上での注意点

この研究はヨーロッパ人を対象としていますので、当然日本人とは人種も体格も異なります。

序盤でも述べましたが、日本でのon-line HDFは前希釈が主流ですが、海外ではQBが確保できてしまうので後希釈が主流となりますので、pre-dilution high-dose HDFで同様の結果が得られるかは定かではありませんよね。

仮にQB250[mL/min]の分離率25%で4時間実施できたとすると、総置換液は除水込みで15[L/session]となり、20[L/session]にすら届きません(5時間でも19[L/session]弱ですね・・・。)。

しかし、本文中に以下のように述べられています。

“In case of different substitution modality (pre, mid or mixed dilution) a correction factor (resp. 2 times higher – 1,5 times higher than in post dilution) will be applied to match the performance.”

→ 前希釈、前+後希釈では、後希釈の置換液量に対し、1.5〜2.0倍を適応すると性能が一致する。

つまり、pre-dilution on-line HDFでは後希釈換算だと2倍にすれば良いと考えます。

さいごに

以上で、HDFとHDの生命予後を比較したCONVINCE trialという文献紹介でした。

今回は1本の文献紹介ということで、詳しく紹介させていただきました。

文献1本を丸々解説した記事は今回が最初となりましたので、所々ポイントを備考で説明していますが、私の文献を読んでいる際のポイントでもあるわけです。

やはりと言いますか、日本での大規模RCTが待たれる感じですね。

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Moegi

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この記事を書いた人

職歴
現大学病院勤務
取得資格
臨床工学技士(CE)、ITE 心血管インターベンション技師、ME1種検定試験

得意領域
カテーテル、アフェレシス、内視鏡、機器管理

大学病院での幅広い勤務実績をもとに、臨床工学技士業務全般執筆しております。
1児のパパでもあり、子育て情報も発信していけたらと思います。

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