この度人工透析におけるシャント管理やシャントエコーへの理解を深めようと、2024年10月4日〜10月5日に京都で行われた「日本透析アクセス医学会」に参加しました。
その中で
JSTB合同 新たな資格、「VA日常管理指導士」とは?
という興味深い講演を聴講することができましたので、この新しいVA管理に関する資格についていち早くその情報を伝えようと思います
執筆日を見てもらうとわかりますが、聴講した当日に投稿した大変Hotな話題です。この資格に以前から興味があったので学会参加の上、いち早く他の方にも伝えたいと最速で投稿いたしました。
なおはじめに断っておきますが、私自身は透析業務に関わる一従事者にすぎず、業界団体で責任ある立場にいるなどではありません。
ただ聞いたことをその辺のCEブロガーとしてそのまま共有しています。
VA日常管理士策定の経緯は?
現状のVA管理の課題
- 指導的立場にある透析施設と、その他多数の透析施設との間にVA管理の知識・技術に関する乖離がある
- 全体として手技的な統一が不十分である
- VA管理に関して指導できるレベルの人材が不足している
- VA管理についての研鑽しているという証明がない
新規資格を立ち上げるメリット
会場で一番強く強調されていたことは「日本全体でのシャント管理のボトムアップを図る」ということでした。
簡単な理学初見ですら見落とされてしまうような、VA難民とも言える多くの患者を救いたい
そのためにも多くの施設で適切なVA管理が行われるように導かなければならない
というのが資格立ち上げの大きな趣旨でありました。
VA日常管理指導士の目指すべきところ
設立準備委員会が目指している概要としては以下の通りです
- VAの日常管理を適正に行うための環境整備を行えること
- VA管理に関する教育が行えること
- 自らがVA管理ができること
またVA日常管理指導士に期待することといたしまして
- 日常的なVA管理全般の指導が行える
- VA管理の中心的存在
- 明確に他部門との橋渡しができるポジション
- 地域で橋渡しができるポジション
が挙げられます。
VA日常管理指導士になるには
執筆時(2024年10月)現在ではまだ構想段階でありますが、会場で示された概要は以下の通りです。
- 年1回の試験を実施
- 資格試験受験のための講習会を実施
- 認定期間を5年とし更新制度を設ける
感覚的には「透析技術認定士」の認定・更新要件と被りますね。
VA日常管理指導士に関する疑問
- いつから資格は始まるの?
-
現在鋭意構想中のようです。
会場でも具体的な日程については示されませんでした。
- 取得に対し前提とする資格などはあるか?
-
会場で聞いていた限り「全ての職種」「全ての施設」が取得可能なものにするとのことでした。
講習会を受け合格したら取得可能かと思われます。
(もちろん医療資格者であることは必要でしょうが) 編集部資格が取りたくても「症例数を積めない」などで取れない資格が多い中、比較的門戸の開かれた資格になるのではないかと思われます。
- 関連する団体は何があるか?
-
現在設立準備委員会が設置されており概ね以下の学会団体が関連すると思われます。
第1回の設立準備委員会の構成員は日本透析アクセス医学会、日本腎不全看護学会、日本臨床腎臓病看護学会、日本血液浄化技術学会の4団体でした。
第2回から日本透析医学会も参加し計5団体で準備を進めているとのことです
- 特定非営利活動法人 日本透析アクセス医学会(JSDA)
- 一般社団法人 日本腎不全看護学会(JANN)
- 一般社団法人 日本臨床腎臓病看護学会(JSCNN)
- 一般社団法人 日本血液浄化技術学会(JSTB)
- 一般社団法人 日本透析医学会(JSDT)
編集部よく見ると日本臨床工学技士会のような「公益財団法人」がこの資格に絡んでないのが気になるところです。
透析に関する資格の中でメジャーな「透析技術認定士」は「公益財団法人 医療機器センター」が管轄してますからね。 - 診療報酬に関わる資格か?
-
設立準備委員会は新設の診療報酬加算に「前向きに取り組んでいく」とのことでした。
まとめ
現時点でのまとめです。
VA管理には様々な職域や職種のスタッフが関わっていますが、「透析室(日常管理)」「検査室(精査)」「手術室(VAIVT)」がそれぞれ得意としているVA情報を一元的に見れ、多角的な視点からシャントを管理できる人材というのは希少です。
またVA管理に関する資格が現状なく、その指導を行える指導者層が希薄、施設間にVA管理に関する温度差がある、他にも様々な問題が累積しております。
その上でVA日常管理指導士には
「自施設の置かれた環境の中で、VA管理についてできることを環境整備してほしい」
「VA管理の必要性を経営層に訴えられる人になってほしい(また既にその立場にいる人にとってほしい)」
「VA管理に関するキャリア形成のための登竜門になってほしい」
という設立準備委員会の強い希望があります。
「そのための説得力を与える研鑽の証明としてVA日常管理指導士という資格を立ち上げるのだ」
「その上で我々設立準備委員会はVA日常管理指導士の必要性、有用性を国に認めてもらい診療報酬獲得に繋がるよう訴えかけていく」
といった形で締めくくられました。
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