心不全シリーズ第3弾は
左心不全と右心不全について説明していきます!!
Moegi心不全シリーズの中でも重要なパートとなります。




左心不全(LVF)
左心不全とは
左心不全(LVF)とは
⼼臓の構造的、もしくは機能的障害により左室の充満や左室からの前⽅拍出が障害されることで、全⾝への⼼拍出量が低下し、肺循環系のうっ⾎をきたす臨床症候群
のことを示します。
なんとなく、左心不全は「左心室の機能が低下して全身への心拍出量に関わるんだろうなぁ」・・・という感じでイメージしやすい病態といった感じでしょうか。
左心不全の症状
左心不全の症状は、心拍出量(CO)低下による症状と肺うっ血による症状に分類されます。
- 動悸
- 低血圧
- 四肢チアノーゼ
- 意識障害(脳虚血)
- 易疲労感
- 冷汗
- 末梢冷感
- 乏尿(腎虚血)
- 呼吸困難症状
- 頻呼吸
- 起座呼吸
- ピンク色泡沫状痰
- 労作時息切れ
- 喘鳴、咳
- 発作性夜間呼吸困難
- 肺野断続性ラ音
肺うっ血までの機序
左心不全発症から肺うっ血までの機序を説明します。
- 左心機能低下が生じると、心拍出量の低下と共に左室拡張終末期圧(LVEDP)が上昇します。
- 次に左房圧(LAP)もしくは肺動脈楔入圧(PAWP, PCWP)が上昇してきます。
- そして、肺動脈圧(PAP)が上昇してくることで、肺うっ血へと進行するという流れとなります。
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次項の右心不全でも説明しますが、このまま肺高血圧症(PH)が進行し、右心不全も併発することも多いのです。
心不全の代表的な所見
肺水腫
肺うっ血により毛細⾎管圧が上昇し、肺⾎管外に⽔分が漏出することで⼼原性肺⽔腫が生じます。
肺水腫により呼吸困難症状を引き起こします。
肺水腫, ”病気が見える循環器”より引用
浮腫
こちらも肺うっ血により毛細⾎管圧が上昇することが原因で、水分がthird spaceへ漏出することで浮腫が生じます。
特徴として、浮腫が両側性であり、足首から上方へ進行します。
浮腫, ”病気が見える循環器”より引用
起座呼吸
起座呼吸は、仰臥位では静脈還流量増加により、肺うっ⾎が助⻑され呼吸困難が増悪します。
一方で、起坐位やファーラー位で呼吸困難症状が軽減されるという特徴があります。
起座呼吸, ”病気が見える循環器”より引用
発作性夜間呼吸困難
発作性夜間呼吸困難は、夜間就寝中に仰臥位によって静脈還流量が増加することと、副交感神経優位になることにより、⼼機能と呼吸中枢が抑制されるために呼吸困難が増悪するというものです。
就寝後2〜3時間頃に息苦しくなり⽬覚めるというのが特徴です。
発作性夜間呼吸困難, ”病気が見える循環器”より引用
⼼筋リモデリング
リモデリングとは、細胞が負荷や障害を受けた際に機能障害を伴って修復/再構成されることです。
遠⼼性リモデリングと求⼼性リモデリングがあります。
- 遠⼼性リモデリングは前負荷(容量負荷)により⼼拡⼤が生じること
- 求⼼性リモデリングは後負荷(圧負荷)により⼼肥⼤が生じること
を示します。
⼼筋リモデリング, ”病気が見える循環器”より引用
右心不全
右心不全とは
右心不全(RVF)とは
⼼臓の構造的、もしくは機能的障害により右室の充満や右室前⽅への⾎液の拍出が障害される臨床症候群
のことを示します。
左心不全と異なり、少々イメージしにくい印象はありますね。
とはいえ、右心不全患者も大勢いらっしゃいます。
右室と左室の特徴比較
右室と左室の特徴の比較を右室視点で挙げます。
- 肺循環は低圧系であるため、右室の筋線維は少なく、右室壁は薄い
- 静脈還流の変動に対応するため、コンプライアンスが⾼く、拡張末期圧が変動しにくい
- 後負荷の影響を受けやすく、後負荷の上昇により1回⼼拍出量が著明に低下する
- 右室は⼼室中隔を介し左室と互いに影響し合っている(⼼室間相互作⽤)
- 右室の拡⼤や後負荷の増⼤は⼼室中隔を偏位させ、⼼外膜による左室の圧迫をきたす
- ⼼室間相互作⽤は左室形態を変え、左室の前負荷や収縮性を低下させうる
元々は注目されていなかった
元々右心機能というのは、心不全の臨床及び研究において、左心機能と比較してあまり注目は浴びていませんでした。
近年は左心不全の長期予後を始めとして、運動耐容能に右心機能が関連していることが報告されたこともあり、右心機能の重要性が注目されてくるようになっているのです。
右心不全単独は珍しい
さて、そんな注目されてきている右心不全ですが、右心不全単独の病態というのは非常に珍しいのです。
心不全入院のうち、少なくとも20%が左心不全に続発した右心不全であると報告されており、右心不全単独は僅か2%程度といわれています。
右心不全の最大の原因は、左心不全による後方障害となっており、左心不全に続発するPHが原因というわけです。
あくまでも”少なくとも20%”が左心不全に続発するものとされてはいますが、右心不全のおよそ90%は左心不全の二次性右心不全とされています。
右心不全の症状
右心不全の症状は、体静脈うっ血による症状を認めます。
浮腫や体重増加以外に、消化器系の症状を認めるのが特徴ですね。
- 頸静脈怒張
- 浮腫
- 体重増加
- 便秘
- 腹部膨満感/腹水
- 食欲不振
- 悪心/嘔吐
- 肝腫大
- 肝胆道系酵素上昇
- 右季肋部痛
体静脈うっ血までの機序
右心不全発症から体静脈うっ血までの機序を説明します。
- 右心機能低下が生じると、右室心拍出量の低下と共に右房圧(RAP)が上昇します。
- 次に中心静脈圧(CVP)が上昇するとともに全身静脈圧が上昇して、体静脈うっ血へ進行するという流れです。
- また、別ルートとして、左心不全からPHが進行し、右心機能や右室心拍出量が低下することで右心不全が併発して両心不全を発症してしまう方が多いということですね。
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右心不全の原因
右心不全に関して、もう少し詳しく説明していきます。
右心不全の原因として、以下が挙げられます。
- 後負荷増大
- 前負荷異常
- 収縮機能低下
- 心膜疾患
- 調律異常



それぞれの原因となるものを列挙していきます。
- 左室後⽅不全(左⼼疾患に伴うPH)
- RVOTS (RVOTO)、右室⼆腔症
- ⼈⼯呼吸
- SAS、肥満低換気症候群
- 急性肺障害/ARDS
- 慢性肺疾患
- 肺動脈⾎栓塞栓症、CTEPH、PAH
- TR
- PR
- 左右シャント(ASD、PAPVRなど)
- ⼼タンポナーデ
- カルチノイド症候群
- 右室虚⾎/梗塞
- ⼼筋炎
- ⼼筋症(HCM、DCM、不整脈原性右室心筋症)
- Ebstein奇形
- SIRSに伴う右室障害
- 収縮性⼼膜炎
- ⼼タンポナーデ
- 徐脈性不整脈
- 頻脈性不整脈
さいごに
以上で、左心不全と右心不全の説明を終わります。
次回は、心不全の分類について解説していきたいと思います。


















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