ー国家試験対策特集ー

【DFPP】二重膜濾過血漿交換療法① —血漿成分分画器(2次膜)の概要—

血漿交換療法(PE:plasma exchange )について執筆させていただき、大変好評をいただいているようで嬉しく思います。
時間を割いて執筆した記事が多くの方に読まれることは、執筆した甲斐があるものです。

PEから派生したアフェレシス療法である”二重膜濾過血漿交換療法:DFPP“について解説します。

本記事では、主にDFPPの2次膜である血漿成分分画器をメインに触れていきます。

特に学生さんや新人さんは、”DFPPって、なんか難しいイメージ・・・。“という感じに思われているところがありますが、その点を払拭したいという思いで執筆しますので、よろしくお願いします。

PEに関する記事は以下をご参照ください⇩

目次

二重膜濾過血漿交換療法:DFPP(double filtration plasmapheresis)

DFPPとは

二重膜濾過血漿交換療法DFPP:double filtration plasmapheresis, 以下、DFPPとする。)は、名称の通りですが、膜を2つ使用します。

DFPPではPEと同様に、脱血した血液から血漿を分離するために血漿分離器1次膜)を使用します。

そして、分離された血漿を血漿成分分画器2次膜)を使用することで、病因物質であるIgGIgMなどの免疫グロブリン、高分子量タンパクを選択的に除去して、除去されずに残ったアルブミン低分子量タンパクなどの有用物質を体内へ戻すといった治療となります。

本来PEで破棄することになっていた血漿成分を患者へ還元することができ置換液を少量に抑えることができるのがDFPPの特徴です。

Moegi

DFPPも大きな括りでは、”血漿交換療法”に分類されます。
慣れていない先生方では、DFPPのことでも”血漿交換”と呼ぶ先生がいらっしゃることも念頭に入れておいてください。

回路構成

回路図をご覧ください。
比較でPEの画像もJSEPTIC様より引用させていただいております。

見ての通りですが、2次膜が追加されたことにより、回路構成が複雑になっています

DFPP回路図:JSEPTIC, CE部会教材プロジェクト「血漿交換療法」, https://www.jseptic.com/ce_material/

PE回路図:JSEPTIC, CE部会教材プロジェクト「血漿交換療法」, https://www.jseptic.com/ce_material/

DFPPの保険適応

以下にDFPPの保険適応と適応限度回数を一覧にしました。
参考にしていただければ幸いです。

DFPPの保険適応と適応限度回数
©︎CEじゃーなる
DFPP保険適応と適応限度回数:[参考] 診療点数早見表, 2024年度版, 医学通信社
Moegi

私の経験的推測ですが、DFPPは主に腎移植や肝移植前に実施されるという印象です。
移植以外では、PEやSePEが選択されるケースが多いと思われます。

DFPPのターゲット

2次膜により、IgG、IgM、高分子量タンパクといった病因物質を選択的に除去するのが目的だと説明をしましたが、ターゲット層が広い高分子タンパクをターゲットとする疾患の治療をするならばPEが選択されることが多いと考えます。

したがって、DFPPでのターゲットはIgGとIgMとすることがほとんどであり、特にIgGをターゲットとします

最低限、PEとDFPPで覚えるべき物質の分子量を掲載しておきます。

PEとDFPPで覚えるべき分子量
  • IgG:15万[Da]
  • IgM:95万[Da]
  • フィブリノゲン:34万[Da]
  • アルブミン:66,000[Da]
Moegi

上記4つの分子量を覚えておくと良いと思います。

血漿成分分画器(2次膜)

2次膜のスペックについて

では、2次膜の説明に移ります。

血漿分離器(1次膜)によって分離された血漿から病因物質であるIgGやIgMなどの免疫グロブリン、高分子量タンパクを選択的に除去する役割をしている膜を”血漿成分分画器”または”2次膜“と呼びます。

2次膜としては、旭化成社製Cascadeflo EC(カスケードフロー)が販売されています。
ラインナップはEC-20WEC-30WEC-40WEC-50Wとなっております。

カタログスペックを掲載します。

Cascadeflo EC カタログスペック表

スペック上で覚えるべきポイントは、素材がEVALであること、充填量(PV)が150[mL]であること、中空糸膜に500[mmHg]以上のTMPをかけないことという点です。

・・・ですが、一番重要なのはCascadeflo ECのアルブミン、IgG、IgMのふるい係数がいくつかという点です。
以下にふるい係数を示します。

Cascadeflo EC各種ふるい係数
  • EC-20W
    ・アルブミン … 0.30
    ・IgG     … 0.15
    ・IgM     … ≒ 0
  • EC-30W
    ・アルブミン … 0.50
    ・IgG     … 0.30
    ・IgM     … ≒ 0
  • EC-40W
    ・アルブミン … 0.70
    ・IgG     … 0.55
    ・IgM     … ≒ 0
  • EC-50W
    ・アルブミン … 0.90
    ・IgG     … 0.80
    ・IgM     … 0.10

ふるい係数:旭化成  Cascadeflo ECカタログより

分画曲線:旭化成  Cascadeflo ECカタログより

2次膜の考え方

DFPPの原理を考える上で、学生さんや新人さんが戸惑うポイントとして、DFPPの回路の煩雑さから、DFPPの回路フロー図がどうなっているのかをしっかりと頭の中に入れることが重要です。

では、問題です。

1次膜で分離された血漿が次に2次膜へ向かいますが、廃液するのは中空糸内側でしょうか、あるいは外側でしょうか。

すぐに答えに向かいますが、DFPPの1次膜と2次膜にフロー図をご確認ください。

DFFPPのフロー図

答えはご覧いただいた通り、廃液されるのは中空糸内側を流れてくる血漿となります。
逆を言えば、中空糸から濾過されて、中空糸外側から流れてくる血漿が患者へ還元される血漿です。

簡単に言うと、不要なものは中空糸から濾過させずに中空糸内に留めておくということです。

ふるい係数の考え方が非常に重要なポイントとなっており、例えばEC-20Wのアルブミンのふるい係数が”0.3″ということは、2次膜を通過するアルブミンのうち70%(0.3)が濾過されずに破棄されるということです。

つまり、ふるい係数0.3というのは、阻止率0.7と言い換えられるということです。

この考えをしっかりと頭の中に叩き込んでいただきたいと思います。

Moegi

“2次膜で濾過されるものが患者へ戻る”

・・・何度も頭の中で復唱して覚えましょう。

2次膜の選択方法は?

2次膜の基本は”EC-20W”

2次膜であるCascadeflo ECの選択について説明します。

繰り返しになりますが、DFPPでターゲットとするのは、ほぼIgGです

2次膜選択の結論を言いますと余程のこだわりがない限りは、基本的に「EC-20W」が選択されます

「えー、そしたら、他のEC-30WやEC-40Wは不要では?」という意見が出てきそうですが概ねその通りです。

私個人的には、EC-20WとEC-50Wの2種類で良いと考えています。

その理由となるかはわかりませんが、2次膜の分類について説明します。

2次膜の分類は?

4種類のCascadeflo ECは2グループに分類が可能です。

どういうグループ分けかと言いますと、IgGをメインターゲットにするか、IgMをメインターゲットにするかの分類です。

先程、Cascadeflo ECの各種ふるい係数を示しましたが、IgG、IgMについて再確認します。

Cascadeflo ECのIgG、IgMのふるい係数
  • EC-20W
    ・IgG     … 0.15
    ・IgM     … ≒ 0
  • EC-30W
    ・IgG     … 0.30
    ・IgM     … ≒ 0
  • EC-40W
    ・IgG     … 0.55
    ・IgM     … ≒ 0
  • EC-50W
    ・IgG     … 0.80
    ・IgM     … 0.10

上記、ふるい係数を確認してみると、スペック上変動するのはIgGのふるい係数であり、IgMはどれでも除去されることがわかります。

Moegi

さて、この時点でこんがらがっている方が大勢いらっしゃるかもしれません。
前項で強調して説明はしていますが、DFPPの2次膜の考え方は大変重要なので再確認します

2次膜では、体内へ戻す有用物質は中空糸から濾過されターゲットであるIgGやIgMは濾過されずに中空糸内を通過して廃液と共に破棄されます

一般的なHDやon-line HDFの考え方からすると、ふるい係数が大きいほどターゲットは除去される印象ですが、DFPPの2次膜では、ふるい係数の逆数に当たる阻止率で考えなければなりません

つまり、2次膜におけるIgMがふるい係数がゼロや0.10ということは、中空糸膜のポア(膜孔)を通過しない・・・つまり、ほぼ阻止して除去されるということです。

IgGにおいては、例えばEC-20Wでのふるい係数が0.15ということは阻止率(除去率)が0.85、EC-50Wでのふるい係数が0.80では阻止率(除去率)が0.20ということですので、EC-20WはIgGを除去できる2次膜、EC-50WはIgGはあまり除去されずIgMがメインターゲットという2次膜になります

よって、4つのCascadeflo ECを2グループに分類すると以下の通りとなります。

IgGがメインターゲット
  • EC-20W
  • EC-30W
IgMがメインターゲット
  • EC-40W
  • EC-50W

ただ、「そしたら、EC-20WとEC-30Wの使い分けは?」、「EC-40WとEC-50Wは?」となってしまうのですが、正直その使い分けは難しいです。

強いて言えば、アルブミンを節約することを取るか、少しでもIgGないしIgMの除去を取るかで悩む感じでしょうか

最終的に私の意見として、DFPPは余程のこだわりを持ってIgMだけのターゲットとしない限りは、EC-20Wを基本として治療計画を立てます。

IgMのみをターゲットとする場合は、正直EC-40WとEC-50Wどちらでも良いと個人的に考えますので、アルブミンのコストを抑えられるEC-50Wを選択すると思います。

Moegi

何十例とDFPPをしてきましたが、EC-50Wを使用したのは、ほんの1例か2例で、その他の症例は全てEC-20Wで治療をしてきました。

さいごに

以上で、DFPPの概要と、二次膜についての解説でした。

DFPPは難しいという印象を持たれている方が多いと思いますので、3部構成でそれぞれでわかりやすく解説していきたいと思います。

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この記事を書いた人

職歴
現大学病院勤務
取得資格
臨床工学技士(CE)、ITE 心血管インターベンション技師、ME1種検定試験

得意領域
カテーテル、アフェレシス、内視鏡、機器管理

大学病院での幅広い勤務実績をもとに、臨床工学技士業務全般執筆しております。
1児のパパでもあり、子育て情報も発信していけたらと思います。

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