学生さんはもちろんのこと、維持透析すなわち、慢性期の透析しかしてなくて急性期病院へ転職される方や新たに集中治療領域の業務を担当することになった方、ICU Nsが主な対象となる記事です。
※本記事は初学者向けの内容となっております。
KRTとRRTの表記について
KRT(kidney replacement therapy)またはRRT(renal replacement therapy)は「腎代替療法」を示します。
何らかの原因によって、腎機能が低下した患者に対して施行するHD(血液透析)やCHDF(持続的血液透析濾過)がKRTに当たります。
一部の方、もしかしたら大多数の方が疑問に思われているかもしれませんが、実は最近は文献などの表記が「RRT」から「KRT」へ表現が移行しつつありますので、Moegiも流行りに乗っかろうという訳です。
まだまだ「RRT」の方が主流かもしれませんが、「KRT」の表現も覚えておく方が良いかもしれません。
intermittent(間歇)とcontinuous(持続)の意味の違い
RRTは大きく2種類に分類されます。
1日おきなど隔日に実施するものを「intermittent(間歇)」、24時間、48時間など持続的に/連続的に実施するものを「continuous(持続)」と良く英語で表現したり言ったりしますね。
正確には異なりますが、「inetermittent:慢性期」「continous:急性期」の血液浄化とするのがイメージしやすいかと思います。
では、説明していきます。
intermittent
いわゆる、HDやHDFなど1日おきに実施している血液浄化です。
仮に毎日HDやHDFを実施していても、VA(バスキュラアクセス)を接続と離脱を繰り返して、夜間など血液浄化をしていない時間帯があるため「intermittent」となります。
intermittentの特徴は、腎機能が低下し、老廃物や水分を出せない腎臓のために高効率で短時間に血液浄化を実施することです。「IRRT」や「IHD」といった表現をします。
ただし、「IHDF」は実際に「I – HDF」というモードが存在しますので混同に留意が必要です。
ただし、本来なら毎日24時間働き続ける腎臓の代わりを4時間程度で補おうというのですから当然、その弊害は出現してきます。
短時間高効率のintermittent治療の影響を最も受けると考えられるのが「循環動態」ですね。
腎臓が24時間かけてゆっくり尿を生成するのに対して、4時間で除水をしたり、電解質補正をするのですから血圧が変動しやすくなるわけです。
そこで「continuous」の登場です。
continuous
重症心不全であったり、心臓外科手術後で心機能が回復しきっていなかったりする患者がいるわけですが、そのような患者に一気に除水をしてしまうと循環動態が破綻する可能性が高いです。
そのような循環動態が不安定な患者に対し、低効率で長時間の血液浄化を実施することを「continous」としています。
continousの血液浄化を「CRRT」や「CBP(continous blood purification)」と表現します。
「CBP」の方が最近のトレンドですね。
集中治療領域でICUやPICUにて業務をされている方はintermittentよりcontinousの方がウエイトが大きいかと思われます。
しかしながら、ほぼintermittent寄りですが、intermittentとcontinousの中間に位置する血液浄化があります。
次にいきます。
SLED(sustained low efficiency dialysis)
SLEDは公式の日本語訳が無いのですが、「長時間低効率血液透析」と言います。
余談ですが、ヨーロッパでは「Extended daily HD」と表現されています。
HDやHDFのQBやQD、QFの設定を落とし、膜面積も小さなものにして、HDより低効率で6〜8時間の血液浄化をします。
除水量も4時間ではなく8時間割りにすることができるため通常のHDよりは循環動態への影響は小さいです。
「んー、CHDまで効率落とさなくてもいいけど、HDでは少し循環維持出来るか不安だな・・・。」といった際に使用する方法ですね。
濾過(filtlation)を追加してHDFで低効率条件で実施する場合には、「SLED-f」と表現します。
その他設定条件によっては細かい表現があるのですが、通常であれば上記までの表現を知っていれば業務には支障がないかと思われます(詳細は省きますがCHVHFやHVHF、欧米ではCVVHDF、CAVHDなどの表現があります)。
まとめ
以上でRRT(KRT)に関する内容でした。今回は急性期と慢性期で実施する血液浄化の違いについて、ほんの触りだけを解説しました。
今後、「CHDとCHFの使い分けは?」、「CHDFの条件はどうするの?」といった内容を執筆します。
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