はじめに
タイトル冒頭に「とある臨床工学技士の」とはついていますが、「就職と転職経験談・仕事と自己実現の葛藤」のタイトルの通り、これは単に臨床工学技士の話題にとどまらず、就活・職務内容・人間関係・職務適正・技術革新によるスキルの陳腐化・仕事に対するモチベーション・生き方など、医療従事者に留まらず一般企業に勤める社会人の方など、就職や転職に悩む全ての皆様に何か心当たりがある内容であると思い執筆をしています。
この記事はよくあるまとめサイトのような(臨床工学技士の)就職率であったり、転職なら〇〇で!のような薄っぺらい内容を扱ったものでは全くなく、私(CEじゃーなる編集部)個人の主観と経験談と挫折に基づいた、人間味に溢れた、個人ブログらしい内容になるように心がけた隠れた力作記事です。
自分で言うのもなんですが、こういったリアルな(職業)人の人生をまとめて扱った記事って今ではなかなか見る機会がないと思います。
この記事に検索で来られる方はまずいないとは思いますが、(自分の職業の)先人達のリアルなブログを辿ってみるのは色々得るものがあると思いますよ。
あまりに赤裸々に書きすぎて少々恥ずかしいのですが、この記事が悩める皆様の参考になると幸いです。
執筆に至った経緯
共同執筆者のMoegiのもとにTwitterから転職に関わる質問が来ておりました。
これがなかなか考えさせられる質問であったため、Moegiの回答と合わせ、転職経験のある筆者の考えも合わせてブログにて改めて考察しようと思いこの記事を執筆いたしました。
【質問箱より】透析施設から総合病院への転職は厳しい?ME1種は有利?
【質問への回答 Moegi】
【回答:Moegi】
正直な個人的な感想です。
透析のみの経験からの中途採用となると、同じ透析病院か、透析をメインとする病院、あとは人手不足の総合病院でないと厳しいと思われます。
特にこのコロナ禍で採用試験を出してる病院が少ないのが現実かと思います。
…となると、やりたい業務を決めて、内視鏡なら内視鏡、カテなら循環器に力を入れてるとこ、新たにやりたい業務が得意な病院を探すことになるかと思います。
就職というのは時と運です。というより、運です。
筆記試験は出来て当たり前、人事や技士長はその人柄とどのような思いでその病院に就職したいかを見てきます。
私Moegiは、筆記試験が大の得意でしたが、やはり面接で大学病院、大の総合病院で落とされてます。
いかにその新たにやりたい業務への思い、またはgeneralistとして働きたいかを伝えるといったところでしょうか。
1年目で血液浄化業務を担当し、個人的理由で辞めたり、試用期間から更新できなかった友人や後輩を何人か見てきましたが、やはり、透析のみ経験は苦労しているのを見ます。
それでも、技士長や知人のコネで紹介してもらいスムーズに次の職場を決めている人もいます。
やはり使えるコネは使うことです。
学生時代の友人、学校の先生、訊きにくいかもしれませんが先輩や技士長へどこか無いかを尋ねるべきです。
コネが使えなければ年数掛けてキャリア積むしか無いのが現実だと思います。
全文はこちらから(ME1種についても)
いやMoegiもだいぶぶっちゃけたなぁ・・・と個人ながら心配になってしまいましたが、Moegiの言いたいことはわかるし筆者も実際その通りだと思って特に止めませんでした。
Moegiはとある大学病院にて新卒から現在まで勤め上げてる中堅で、新卒や実習生からの評判も良く、技士長からの評価も高い臨床工学技士として花形の人生を歩んでる成功者側の人間といっても過言ではないです(まぁ当然彼にも色々挫折はありますが)。
方や今この記事を編集している私はこの回答の文中にある「1年目で血液浄化業務を担当し、試用期間から更新できなかった友人」その人です。
私の略歴としては新卒で大学病院に一度は勤めておきながら、非正規雇用のもとキャリアを築く暇もなく雇用を切られ、コネも持たず約一年の長きに渡り再就職活動に苦労し、最終的に透析クリニックに落ち着いたというどちらかというと失敗者側の人間です(もし気を悪くされた方はすいません)。
そんな成功者側の彼のコメントに、あえて私如き失敗者側の人間が口を挟む必要もないのかもしれませんが、私自身の窮状と重なるこの質問はどこか心に響くものがあり、私の考えも合わせてブログに取り上げた次第です。
新卒や転職者の方の心を挫くようですが、正直大学病院や大きな市町村の公的病院なんかは幾らでも求人に応募が来るので、正規の求人を出さず、非正規の時給1200円ほどで「勉強の為」などの名目のもと、気に入った人材を選別・正規登用し、残りは切り捨てるといったような雇用の仕方が横行しているため、私のような被害者が少なからずいるはずです。
(医療関係以外にも学校の教職員の話とかもよく耳にしますね、正規の先生だと思ってたら実は一年更新制の非正規とか・・・。)
正直これは病院だけの問題に限らず、「(公務員の)人件費削減」という大きな波のもと生じた、一般社会からは見えにくい社会の闇だと考えております。
透析施設から総合病院への転職は厳しい?
先に述べたように、私の場合は少々特殊な転職となってしまいましたが「正直厳しかった」です。
なお透析施設から透析施設への転職は年齢と経歴次第ですが、現状では比較的簡単だと思います。
なのでこの度の記事は質問通り透析施設から総合病院に(一般の方の視点から言うと中小企業から大企業に)転職を目指すという体で記事を進めていきますが、もちろん新卒の方や普通に転職を目指す方にも参考になるよう心がけて執筆しております。
余談ですが専門職(医療職)の資格を持って、就業の意思はあるのに20代前半で約1年も失業し、路頭に迷う経験した人間なんて日本中探してもそうはいないでしょう。
その1年で私の人生観は根本から覆され、経済的・精神的に不安定になり弱者側の視点から仕事のこと、お金や資本のことについて見つめ直す大きなきっかけとなりました。正直今では40代50代で失業し手遅れになる前に、20代の若いうちに気づいて良かったと思うことが多々あります。
この辺りの話は、この記事もそうですし何らかの形で記事にしていけたらなと思います。
今この記事に辿り着いた”はたらく”につまずく若者へ
学生時代まで普通に過ごし、そこそこ成績がよければ問題が顕在化することはなかった・・・
学生時代までなんの問題もなかったのに「社会に出る」という一点が突破できない若者の存在は、今まであまりかえりみることがなかったのでは。
大学生の〇〇です。社会人の〇〇です。社会的所属があるというこの安堵感は、人が生きていく上でとても重要なんだと、失ってから初めて気付かされました。
失業当時社会との希薄化を感じ通い詰めた図書館で出会った良書です。タイトルにある通り、特に新卒や既卒で無職になった・就職に苦しんでいる方に是非とってもらいたい良書です。
人工透析のスキルしかないリスク
私も今やキャリアの大半を透析クリニックで過ごし、専門資格である「透析技術認定士」までとった側の人間な訳で、正直にいうと悔しいのですが
「透析しかできない臨床工学技士はリスクが高い」
と言っていいと思います。
確かに透析は奥深いんです、正直学べば学ぶほど知らない知識が出てくるため、のめり込んだら底なしの沼だといって過言ではないです。
ただし臨床工学技士として人工透析ができるというのは、転職の際の武器になるかといえば「全くならない」のが現実だと思います。
というのは、正直な話「CEは大体みんなできるから」希少性がなく、自身の価値を高める手段に乏しいため、強みにはなりにくいです。
逆に総合病院で働いていると、業務に希少性があり実務経験と転職先の需要次第では割とすんなり決まっていく印象があります。
【コラム】技術革新により職が失われるかもしれない未来
あと私が将来的に危惧していることについて少しだけお話しします。
余談なので下をクリックしたら読めるようにしておきます。
【コラム】技術革新により職が失われるかもしれない未来
人工透析の歴史と未来
第二次世界大戦直前から終戦までの西暦1938〜1945年、Kollfによる人工腎臓の臨床応用によって「不可避の死」であった末期腎不全は、時が経つにつれ人工的に救命可能な病へと変化を遂げてきました。その後も医療的技術革新や、年金保険制度の拡充により今や国内の透析患者数は34万7671人に上り、全国4493 施設にて人工透析治療を受けることができます(出典:日本透析医学会 2020年)。
これらは偉大な先人たちの知恵と努力、それを支える企業やこの国全体の経済力、そして今の医療現場を支える医療従事者の努力で、世界で最も進んでいると言って過言ではない透析技術は継承発展され続けております。
そして医学の発展は今やiPS細胞の発展やバイオ3Dプリンターによる人間の臓器そのものを開発し移植する方法や、装着型の人工腎臓の研究開発、ごく最近話題になった「遺伝子改変した豚の腎臓を人間に移植する」といった新たな治療手段が日々模索され続けております。
簡単な道のりではありませんが、人類はやがてその領域に到達することでしょう。
技術革新と雇用・格差問題
一方電話交換手や集金人など、かつて技術革新や時代の流れで消えていった職業は数知れずあります。
ましてはこれからのAI時代、2045年問題の例に及ばず多くの職が失われ、AIや科学技術を行使する側の人材と、変化についていけない人材との格差、いわば知能格差社会、そしてそれに伴う経済格差社会はさらに拡大することでしょう。
安定していると言われる医療職ですが、この先数十年(透析だけで)職業人としての将来は安泰と言えるかは私個人の意見としては疑問符です。
「透析以外の経験も積みたい。」「技術革新によって奪われる側でなく、新たに生まれる側の職業に就きたい。」その気持ちは私も痛いほど分かります。
就職・転職活動に必要な心がけ
先の項で透析だけのCEはリスキーだという話をいたしました(無論賛否両論あると思いますが)。
では具体的にそのほかの業務経験を積むため、未経験者が転職の際には何を対策すればいいかをこの項にまとめます。
就職・転職試験の内容と対策
新卒、中途採用問わず、総合病院の就職・転職で必要な対策は
- 履歴書と志望動機
- 面接対策
- 自己PR
- 志望動機
- 受け答え(敬語や適切な言動、場の空気を読むなど)
さえしっかりこなせば、あとは正直病院側の需要と運次第なところがあります。
あと一定規模以上の総合病院に限りますが、
- 病院見学
- 小論文
- 一般教養試験
- 専門教養試験
- 適性検査
を就職試験課題に課している病院も多いです。
一見やることが多くて大変ですが、わずかな面接の時間だけで差別化するのは至難の技であり、強みを見せるためあえてこれらのある病院を選ぶのもおすすめです。
- 病院見学について
-
病院見学は就活中の身には正直言って負担にしかならないですが、募集要項の中に「病院見学について」なんて文言があれば、残念ながらいっておいたほうがいいです。
事実上の採用試験の延長ですし・・・。
とはいえコロナ禍では中止してるところも多いと思います。 - 小論文試験について
-
小論文などは「就職してからの抱負」みたいなテーマが多いと思います。
日頃から心がけていること、自身の抱負を文章化する努力を重ねておくといいでしょう。
- 教養試験について
-
教養試験に関してですが、昔の特に公立系の病院であれば、筆記試験の点数がほぼ全てで、面接は受け答えができるかを確認するだけという、一昔前の公務員試験そのままの環境であったため、筆記が得意な方には有利な環境だったと思います。
しかし今の採用は適性検査を含め、「総合的な人間力」をみる採用に変わっていっているため、いわゆるガリ勉タイプは通らないんですよね残念ながら・・・
とはいえ筆記試験の点数が取れるに越したことはないです。おおよそ国試準拠〜臨床応用レベルだと思いますので特に専門教養については差がつきやすいはずです。
- 面接試験について
-
面接試験についてですが、もうこればかりは慣れるしかありません。
色々志望動機とか考えて面接に臨むものの本番では全然役に立たないなんてことは往々にしてありました。
とはいえ何の準備もしないのはまずいので、一応私が厳選し読了したおすすめの面接対策本のリンクを貼っておきます。
ちなみに私がなぜ就職できたか赤裸々に答えると、
「受験人数が少ない上、筆記試験が厳しすぎて面接の前に募集人数を割った」
「新卒を入れたいがその新卒の少しだけ上の年齢層の(安く雇える)人間が欲しかった」
だけだそうです。もはや個人の資質がどうこうじゃなくて環境要因の方が強そうですよね。
Moegiの言葉を借りますが「就職というのは時と運です。というより、運です。」は本当にそうだと思います。
現実的な転職のアドバイス
また応募する求人をどう選ぶかの要素も大きいため、筆者が転職の際に実際に試したり考えていたことについて簡単にまとめてみました。
就業する地域を妥協する
お勧めの方法としては、現在都市部や都市近郊に住われている方は、地方や田舎の求人に目を向けてみることです。
正直都市部や都市近郊の総合病院は応募が殺到しますから競争倍率が高く並大抵の努力では面接に通ることが叶いません。
一方で地方や田舎ではまだまだ臨床工学技士が足りていないであろう病院も多く、民間の透析クリニックなどのサテライト施設も少ないことから、町唯一の病院が地域の透析医療を一括して担っているケースが全国で多々あります。
しかし縁もゆかりもない土地での就職活動は、よっぽどの志望理由や目的がなければかなり厳しいのもまた現実です。
また求人の絶対数といった意味でも都市部と比べて少ないですから、地元出身の方の雇用を奪うに等しいこの選択はある種の禁じ手ともいえます。
各病院にどれだけの臨床工学技士が居るのか詳しく分析した記事はこちら
休日日数を妥協する
都市部の総合病院でもなぜか求人が残ってると思って調べてみると、年間休日が100日以下だったりするケースが稀にあります。
経験を積み、更なるキャリアアップに繋げたい意思が固いのなら選択肢の一つかもしれません。
ちなみに筆者は上手く騙されたとはいえ転職して年間休日60日台の労働に耐え抜いた結果今の人生基盤があります・・・。はっきりいっておすすめはしませんが。
ぶっちゃけると労働基準法って週1日、年間52日の休みさえあれば合法なんですよね。狂ってる。
給料を妥協する
同じくなぜか求人が残ってると思って調べてみると、想定される給与があり得ないほど安い求人が残っているケースが結構あります。
正直20代や30代の資産形成に一番重要な時期を薄給で搾取されるのは手痛いことですが「勉強の為」なら・・・と進むものが後を絶えない茨(いばら)の道です。
急募の求人に応募する
急募と書いている求人は正直経験者採用がメインですが、向こうも切羽詰まってるので適切な経歴があればおすすめです。人がいない病院ってまたすぐ人辞めて連鎖しますよね・・・
就業する業種・業務を妥協する
ある意味これが1番の模範解答ですが、今回の質問の趣旨とは違うので省略します。
私の場合最終的にはこれに落ち着きました。
【備考】コネ採用はあるのか
Moegiはあのように言っていますが、私個人の意見としてはぶっちゃけると無いと考えた方がいいです。
無論あるか無いかではある方が良いに決まっていますが、採用の現場は事務長や人事といったその道のプロの方が対応するケースが多く、技士長が面接の場に隣席するようなケースは筆者の体験としては稀でした。
この辺りは大小関係なく一般企業の採用面接を想像してもらえればわかりやすいと思います、現場の人間来ますか?
なのであくまでコネは「落とすにはもったいない人材だけどどうするかなぁ・・・」というときの最後の一声程度の力しかないと思っていた方がいい気がします(まぁその一声が強かったりもするんでしょうが)。
そもそもコネが得られるような人は元々優秀な人材なわけで、なくても勝手に就職していきます。
病院(企業)が欲しい人材像とは
先程の項目で「妥協ばかりじゃないか(怒)!!」と気を悪くされた方もいるとは思いますが、実際問題キャリアがないと総合病院への転職は厳しいだろうというのが直感なので、あえてこんな表記になりました。
やはり採用側も採用に当たっては多くのコストを支払っているわけですから、
- 職場の調和を乱さない人材
- 即戦力になる人材
- ある程度継続して長く働いてくれる人材
安くコキ使える与し易い人材
が欲しいものだと個人的には推察しております。
面接を行う人は社会人としての経験を積んであり、事務長や人事・主任としてそこで働く人々を長年見ているプロの方です。
和やかそう(に見えるが評価は厳しい)面接官もいれば、最悪のパターンですが圧迫面接を繰り広げ、ストレス下の対応力を見る面接官もいることでしょう。
彼らは私たちの面接での受け答え、表情、声のトーン、入退室の一挙手一投足などありとあらゆる要素から、あなたが
- 自己中心的な人間でないか
- 単に敬語ができるだけでなく、人としての礼節を弁えているか
- 体力的に屈強な人間か(運動部の経験があるか)
- 精神的に屈強な人間か(運動部の…ry)
かを問うてきます。
・・・いわゆる「コミュニケーション能力」が高いやつが欲しいんです。
やはりコミュ力‥‥!!
コミュ力は全てを解決する‥‥!!
(総文字数10000文字を超える記事を書いておいて、結局結論がこれである)
この歳になるとわかりますが、これらを備えてる人間はすでに新卒の段階でキャリアを築いてうまくやっていけてるんですよね。
「専門技能や専門資格を持ってるかではなく、一番大切なのは他の医療従事者や患者さんと正確なコミュニケーションが取れる」
かに限ると言う点に。
Moegiの言葉の引用ですが
「筆記試験は出来て当たり前、人事や技士長はその人柄とどのような思いでその病院に就職したいかを見てきます。」
・・・ほんとその通りでよくまとめられた文章だと思います。
また最後の質問への回答となりますが、Moegiも言っている通り、そういった意味ではME1種を持っていても転職にはあまり関係ないのだろうなぁと感じます(私はまだ持ってないので受かっている人ほんと尊敬しますが)。
そして私はこれらが弱い、いわゆるコミュ障であるから約一年の長きに渡り再就職に苦労したわけです。
医療機器に携わる仕事だと思って、進学して理数系の理論教育受けたまではいいけど、臨床実習受けて蓋を開けたら…って苦労してる理系キャラの人少なからずいると思います。
ここまでご覧になられた読者の方はこんな私をぜひ反面教師にしてください
まだ学生の皆さんは、兎にも角にも臨床実習で自信をつけるのが就職への1番の近道だと考えております。
当サイトの「臨床実習」に関する記事も併せて読んでみることをお勧めしています。
自分が仕事に求めるものは何かを見つめ直す
「人は何のために仕事をするんでしょうか」
・・・この記事の結びとして、なんか急に哲学的な話になっていきますが、ここまでご覧いただいたからには最後までお付き合いください(こんな長くて読みにくい文章読んでくださってほんとありがとうございます)。
マズローの欲求5段階説から読み解く 生きるための仕事
「マズローの欲求5段階説」から引用しますが、人間には
- 生理的欲求
- 安全的欲求
- 所属と愛の欲求(社会的欲求)
- 承認欲求
- 自己実現欲求(自己超越)
と言う5つの欲求があると言われます。ざっくり言うと「死にたくない→安全を担保したい→社会と関わりを持ちたい→他人に認めてもらいたい→これら全てを満たし持てる能力を用いて社会で活躍したい」といった順番に人間の欲求はできているというものです。
先に述べた通り、若くして失業を経験し痛感しましたが、
私の持論ですが仕事は最低限の土台となる安全的欲求や社会的欲求を満たすために行っていると言っても過言ではないと思うのです。
それを踏まえると現実的な転職のアドバイスの項で触れた内容と被りますが、
- 仕事の内容
- 仕事のやりがい
- 仕事の報酬(給料面)
- 休暇日数
- 就業地域の希望
などはある意味では高次な欲求と言えるのではないでしょうか。
別にそのことが贅沢とは言いませんし、「給料」や「休暇」や「勤務地の希望」などは人間が生きる社会経済活動上必要不可欠な要素なので、これらを妥協しすぎると言うのは経済的にも精神面的にもあまりお勧めできません。
自己実現と仕事
ですが「仕事の内容」や、特に「仕事のやりがい」はそれより一つ高次元の「承認欲求」や「自己実現欲求」に掛かってくる内容なわけです。
それを仕事で求めるということは、やはり並大抵の努力・気概ではついていけない世界ですし、仕事で得るものの代わりに失うものも多いです。
「何かを手に入れるためには、相応の対価を差し出す必要がある」等価交換の原則ってやつです。
夜勤は当然必要ですし、気の抜けないオンコール対応等…
「家庭や自分より、仕事を優先する仕事人間じゃないと無理なんじゃないか。」
というのが実際に働いている先輩方を見て思った正直な感想です。
そしてそもそも論で医療業って儲かりにくい業態ではあります。
だから大病院の中はあれほど殺伐と・・・CEに限らずですが、特に医師とか看護師の競争はもう目も当てられない状態な訳ですよね。
同じことは一般企業で働く方にも十分当てはまる話だと思います。
仕事をきっかけに見つめ直す人生論
私は先に述べた経緯のように、一度は座りかけた社会の椅子取りゲームから負けた側の人間です。
正直前職との給与格差は悲惨ですし、休暇は少ない、仕事内容もやりがいもイマイチとうまく席に残れたMoegiが羨ましくて叶わない時があります。
当時の私は若くして失業を経験し、就職活動でお祈りをされ続け、「自分はこの仕事に向いていない」と4年間大学で必死に学んで得た国家資格を手放そうとしたり、全くそして究極的には「こんな自分は社会に必要とされていない」と希死念慮すら抱くようになり大変危険な状態でした。
ですがレールから外れても人生は続くわけです。
生きていく限り「どう生きるか」を模索し続けななくてはいけません。
そして生産手段や資本を持たない私たちは、やはり就活し雇用されて生きるための最低限の身銭や社会的欲求を満たしていく必要があります。
私は結局食べていくために向いてない、リスクも高いと思っていながらも、しぶとく今の仕事を続けています。
これは大学時代の恩師の言葉ですが、
「(教育の最大の目的とは)自分が勉強したことを働いて社会に還元するためにある。社会に生きるわたしたち一人ひとりが自分の役割を認識して、自分の学んだ専門性を生かし、できることを一生懸命努力する。そうすれば社会全体は豊かになり、自分自身も満たされる。」
私は恩師のこのような言葉に救われて、今の透析だけの仕事を続けている面があります。
・・・ですが仕事だけで自己実現を目指すと言ったような視野狭窄になる必要もないとも思っております。
可能なら、仕事以外で「自己実現」を目指していけるような環境を構築していくことが人生において大事なのではないかなというのがこの章の結論です。
さいごに
進学や就職や転職は大きな決断です。
今ある生活とか、日常の風景が急に鮮やかに見えてきて、今後の人生が二又に分かれて見えて、今までの人生や生活がどんなものだったかが走馬灯のように頭を巡り「これでいいのか」「自分は何がしたいのか」を永遠と自問自答し続けることとなるでしょう。
そして「いつかその時」はある時唐突に訪れるものです。
「その時そのチャンスに飛び込めるか否か、チャンスを活かせるかどうか」は、きっと自分がこれまでの人生で積み上げてきたものの集大成となることでしょう。
Special thanks
当記事をご覧になった「CEミカタ」さんの運営するブログ「CE転職部」の中で当サイト、およびこの記事を高く評価いただき、紹介していただく機会をいただきました。該当記事はこちらからどうぞ。
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