以前当サイトでは第1種ME技術実力検定試験(ME1種)の概要と新傾向の問題について取り上げていました。
本記事では、第25回から出題傾向が変わったため、学生と臨床で働いている人とでの違いや、私がME1種合格へ辿り着いた体験談を執筆します。
またこの記事で触れているME1種の合格ラインに関しては、他所のブログで合格報告されている方々の見解とは違うボーダーで合格をしているので、ある意味注目かもしれません。
ME1種試験は就職してからも取得できる?学生の方が有利?
ME1種:傾向が変わる前は・・・(第25回以前)
私が学生時代に受験した当初ならば、圧倒的に学生が有利だったでしょう。
何といっても計算問題を解くにあたって、公式を覚えるだけではダメで、尋常ではなく頭を使う問題だったのです。
これは社会人になってからも公式の記憶を維持するのは大変だな・・・と思い、「絶対に学生の内に合格してみせる」という心意気で挑んでいました。
ME1種:新傾向からの難易度
どうやら新傾向の問題では、一転して臨床に出ている人の方が有利な問題となっているようです。
正確には3分野ごとで有利不利が変わるのですが、
- ME安全管理分野 臨床経験者 < 学生
- 生体計測機器分野 臨床経験者 > 学生
- 臨床治療機器分野 臨床経験者 >> 学生
という感じでしょうか。
ME安全管理分野
基本的には医療安全管理学の問題でしょう。
つまりは授業で記憶に新しい、もしくは国試の勉強で覚えているであろう学生有利という見解です。
MDや漏れ電流あたりは生体物性などと絡めそうですね。
生体計測機器分野
測定原理や機器構造などから出題されそうですね。
こうなってくると、臨床経験を積んで知識を持っている方が有利となってきます。
もちろん、基礎から生体計測機器学と生体物性を勉強している学生さんであれば、まだ食いついていけるのではないかと考えます。
臨床治療機器分野
「臨床」とあるように、ME機器が実際どのように使用されているか、どのような治療効果があるかなどより臨床向けな出題となります。
ME1種の試験そのものの特徴から、そのME機器におけるリスクや安全に関する問題傾向となりそうでうね。
流石に臨床経験者が圧倒的に得点しやすいと考えます。
【体験談】ME1種を実際に受験してみて
最初の受験
養成校第2学年でME2種を取得したため、第3学年でとりあえずME1種を受験することにしました。
この時点(第3学年の6月)では国試過去問で6割到達くらいの知識ですので、ME1種に必要な知識量は足りないだろうなと思いながらの力試しでした。
当然の結果ですが、ボロボロの結果となりました。
平均点にすら到達しない有様でした。
翌年の受験
続いて、翌の受験ですが、前年に落ちてからME1種を意識しつつ国試対策をしていました。
翌年の6月時点で国試の模試を8割到達していましたので、前年よりは希望を持っていました。
計算問題は結構閃いたりして解けた感覚でしたが、情報科学と安全は難しかったという記憶があります。
下画像の通り、合格していました。
・・・結構ギリギリの感じがしていますね。
㊙合格点について㊙
ME1種の合格点は50%?60%?
皆さんが気になる合格点/合格率についてです。
得点率が50%(250点)以上だとか、60%(300点)以上だとか、54%(270点)以下は不合格になるとか様々な噂が飛び交っています。
下の参考サイトでは「得点が54%だったら不合格というのは間違いないと思われます。」とされていますが、実はそうではありません。
ほーりーホリデー様「ME1種試験の合格点(合格ライン)は60%とされているが、55%で合格した」:https://horinosuke581.net/me1shiken-gokakuten-60/
シークレット情報?
私は結構ギリギリの合格だと思っているのですが、私の合格した際の得点率は49.2%(246/500点)で総合合格しています。
つまり、得点率50%を切っていても合格できる可能性はあるのです。
ブログで合格体験記を書かれている方は50%以上であるのをよく見かけますが、50%以下で合格したという報告は見かけません。
・・・実は私の合格結果って、貴重な情報ではないのでしょうか。
結局合格率は?(私見)
結局のところME1種の合格ボーダーラインというのは、50~60%としつつ、「平均点」によって調整されている気がします。
私が合格した時は平均点が200点を下回っていました。
・・・ここで皆さんに朗報です。第25回の講習会の質問集で「合格基準」について学会から回答がありました。
総合合格の合格ラインは60%を目安にしているとのことです。
というわけでまとめると、60%をボーダーに平均点で調整されるといったところですね。
「第25回第1種ME技術実力検定試験講習会 会場での質問に対する回答集」
ME1種の対策について(学生編→中長期編)
とても失礼なことを申しますが、学生さんでME1種を受験される方は養成校では成績が優秀な方でしょう。
国試の模試の点数に余裕がなければ、ME1種の勉強をしている余裕はなく、難易度についていけないと勝手に考えています。
逆にME1種を受験する学生さんは、国試受験に対して何の不安もなく、心の余裕があることと思われます。
つまり、何が言いたいかといいますと、ME2種合格をした後の国試対策はME1種を目標に意識して勉強すれば、必然と国試対策になるということです。
単なる国試対策ではME1種対策にはならないと考えます。
さて、前置きが長くなりましたが、中長期を見据えての勉強であるならば、「臨床工学技士 国家試験対策はどうしてた?— Moegi編 —」でご紹介している勉強法となります。
私の国試対策がME1種対策になっていたのですが、それは「科目ごとにまとめノート」を作成していました。
1教科ごとにまとめるなんて時間の無駄では?と思われている方もいらっしゃるとは思いますが、それは人それぞれ合う合わないはあるでしょう。
時間的に余裕があるのであれば、まとめノートの作成をオススメします。
まとめノート作成の理由は、例えば苦手な科目については勉強中に苦手故に何度も同じページを捲るのが面倒になってくる上に、ページ中に不要な文字が多過ぎるので、その都度探すのも大変です。
だから必要な部分だけ書くということです。
ここまでは誰もが良くすることですね。
では、例えば治療機器学の勉強をしていたとします。
単元ごとに、電気メス、除細動器、ペースメーカと、まとめるのですが、広めに余白を取っておきます。
そして、国試や統一模試を解いて、分からなかったことを復習した際に、追記していき、国試で必要な情報しか書かないようにします。
まとめノートを作成をするのは良いですが、やりがちなのは何でもかんでもまとめて、結局参考書の1ページを要約するだけの形となり、書く文字が膨大になってしまいうことで、これは避けたいです。
自分の「この単元で覚えにくいところをメモや辞書代わりにまとめる」といった作業をし、統一模試や新たに得た内容を余白に追記していくのです。
最終的には調べたいことがあれば自分のまとめノートを辞書代わりに使えば良いです。
国試過去問を解いていく派の方は、間違えた問題を科目ごとにまとめていく感じですね。
まとめるという行為はOutpyt作業ですね。
決して、まとめる行為そのものは時間の無駄ではないのですが、参考書のページを「どこだ、どこだ?どこに記載されている?」と、何度もページをめくる行為こそ時間の無駄です。
ME1種対策(短期決戦編)
こちらはなんだかんだで時間が無かった学生さん、そして普段仕事をしていて勉強時間をなかなか確保できない現場のCEさん向けです。
ずばり、「過去問を解いていく」ということです。
ME1種の問題は、国試やME2種とはまるで性質が異なります。
過去問を解いていくことで、傾向を掴みましょう。
第25回からの傾向が変わったことにより、情報科学の範囲だったり、疾患について深く勉強する重要度が下がった気がします。
解説を読んでも理解しにくい問題が多々ありますが、1問1問に時間を掛けずに、解説は軽く読む程度にして次々解いていきます。
個人的オススメは過去問3年分を何周かすることです。
(傾向が変わっていても、とりあえず古いものでも良いです。)
ME1種の過去問がかなり難しいなと感じれば、国試またはME2種の過去問を何年分か解いて基礎固めをしましょう。
特に公式に関してはしっかりとカバーしておきましょう。
ME1種の計算問題のコツ
ME1種に関する質問(質問箱より)
私の下に上記の質問内容がありました。
回答は、先述の過去問を解くこと、まとめノートを利用したということに加えて、私が勝手に命名手法で、何度かTwitter上でも触れたことのある「単位合わせ」をマスターすることです。
ME1種に関わらず、ME2種と国試にも共通して言えることは、「次元」もしくは「SI単位」を使いこなせるかどうかが合格の鍵だと私は考えています。
そして、「単位」と「微分積分」の関連性も利用すると大変便利なことがあり、思わぬ閃きが舞い降りてくることも・・・。
復習がてらSIと次元について触れておきます。
SI(国際基本系)とは
SI単位(仏:Système International d’unités, 英:International System of Units)は普段良く使用しているMKS単位系(m, kg, s)で表現をしていたものの拡張版というわけです。
“SI”なので語順に疑問がある方がいらっしゃるかもしれませんが、そもそもメートル法がフランス発案であること、国際度量衝局(CIPM)などの公用語がフランス語のため、”IS”ではなく、”SI”となっています。
詳しくは別記事にしたいと思います。
余談はさておき、ニュートン[N]やヘルツ[Hz]などはSI組立単位の一種ですが、SI基本単位(m, kg, sなど)に変換することが可能ですね。
クーロン[C]やファラド[F]関連は非常に良く出題されているのを見かけます。
ME1種や国試の勉強、攻略において、SI基本単位で考えるようクセ付けるのが良いと考えます。
SI基本単位は全部で7つです。
メートル[m]、キログラム[kg]、秒[s]、アンペア[A]、ケルビン[K]、モル[mol]、カンデラ[cd]です。
次元について
「次元」という物理量を表すものがありますね。
MKS単位系で質量(M:mass)、長さ(L:length)、時間(T:time)で表現されますが、「kg」→「M」、「m」→「L」、「s」→「T」と置換すれば良いです。
同じ次元同士であれば和差計算は可能ですが、異なる次元同士では決してしてはいけません。
ただし、異なる次元同士の乗算、除算は比例/反比例の関係性にあるので計算が可能となりますが、物理的意味合いが異なる物質量になります。
そしてこの次元の世界では次元を持たない「無次元」も存在します。
国試でも頻出の有名なのがレイノルズ数ですね。その他に比重、ポアソン比、摩擦係数、ラジアンなど「比率」を表すものは無次元であることが多いです。
少しマニアックなところになると、マッハ数、レイリー数、シュミット数、プラントル数、ヌッセルト数、シャーウッド数などが挙げられます。
SI単位も次元も要は、計算問題は常に単位に意識を向けましょうということです。
ME1種にオススメの参考書
MEの基礎知識と安全管理(改訂第7版)
【MEの基礎知識と安全管理】
「MEの基礎」「計測機器の取扱いと保守」「治療機器の取扱いと保守」の3部で構成されています。
ME2種だけではなく、ME1種対策にもどうぞ。ME技術講習会テキスト編集委員会編集です。
過去問と併用して勉強すると効率的です。
臨床工学技士標準テキスト
私達が現役の頃の教科書的な存在。何やら今のCEの卵達は使用していないだとか?
医学・工学両領域の最新情報を盛り込んでおり、タスクシフトの課題もあり、さらに高度な知識・技術が求められる臨床工学技士の養成するための1冊。
さいごに
以上でME1種の合格点に関する情報と、私の経験に基づくME1種の勉強方法の記事となります。
傾向が変わってから問題はとしては、より指導者としての適正を問われる内容となりましたが、全体としてやや易化し、合格点は上がっている状況です。
最低3年分は過去問に目を通し、傾向を掴み、公式など基礎の基礎を隅々まで叩き込めば合格に繋がるはずです。
就活の武器として、自己研鑽としてME1種合格を目指してみませんか?
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