はじめに
当記事は「臨床工学技士:CE(ME)が各病院にどれだけ配置されているのだろう」という疑問を持ち執筆したものになります。
ソースは厚生労働省令和2年度病床機能報告及び令和2(2020)年医療施設(静態・動態)調査(確定数)・病院報告の概況(2022/4/27に公表)をもとに作成しております。
記事執筆(2022/4/28)時点では最新でしたが、現在では一部内容が古くなっていることにご留意ください。
執筆の背景
先日共同編集者のMoegiが面白いツイートをしていました。
厚生労働省より令和2年度病床機能報告というものが公表されていた様ですね。
また令和2(2020)年医療施設(静態・動態)調査(確定数)・病院報告の概況
と言うのが厚生労働省より2022/4/27に公開されていますのでそちらもぜひ参考にしてみてください。
基本的に病院というのは国や地方が「この地域には人口的にこのぐらいの需要があって、あの病院とは距離が離れてるから、このあたりにこれぐらいの規模の病院を運営してほしい」と監督して、地方自治体や民間の医療法人が病院を設立するスキームをとっています。
(あくまで大雑把に言うとです)
そのため全国の病院を管理監督する厚生労働省はその統計情報を収集して、活用するためにそのデータを一般公開しているのですが、初めてみたもののなんとまぁ内容の濃いことで(苦笑)
CTやMRIの数、面白いことに内視鏡手術用支援機器(ダヴィンチ)の数などのハード面から、救急医療の実施回数などの病院運用状況
(高価なダヴィンチ複数台持ってる病院何者だよ・・・。)
そして医療現場において何より大事なソフト面である人材、雇用している医療従事者の人数まで網羅してると言うから驚きです。
これはブログのネタになるぞ!
というわけで早速まとめてみたのがこの記事になります。
思いっきり病院名が出ていますが、先ほども言った通りこれは厚生労働省から出ている誰でもみれるオープンデータなので(おそらく)大丈夫でしょう。
(以後画像では病院名出していますが、一応検索避けとして記事に文字としては入れない様にします。)
(何か不都合があればお問い合わせフォームよりご連絡ください。)
以後のデータは全て令和2年度病床機能報告調査期間内(令和2年10月1日〜令和2年10月31日)に集計されたものとなります。
臨床工学技士:CE(ME)が日本で一番多い病院は?
まず臨床工学技士(CE/ME)が一番多い病院を順にしてみました。
その結果がこちら
TOPはなんと臨床工学技士が80人もいるというから驚きです。ここは言わずと知れた首都圏の巨大病院ですね。
そして2位3位も70人台と圧巻の数を誇っています、その後40人台と30人台が多い感じですね。
・・・これ部屋割りとか業務配置とかどうなってるんでしょう、30人規模でも、もはや顔もみたことない技士とか出てきそうな大所帯ですが。
しかしこうしてみると学会発表とかで名前をよく見る病院ばかりだなぁと言う発見もあります。
やはり技士の人数が多い分、部署内での切磋琢磨が激しいんでしょうね(主要ポストの取り合いで点数稼ぎが大変なんでしょうね)。
(読者の中に普通にいそうなんで心の声はこの辺にしときます)
いやはや大変そうだ・・・。
病院に在籍する臨床工学技士:CE(ME)の平均人数は?
平均をどうとるかで迷いましたが、純粋に技士の在籍人数が80名のTop病院から1名の病院までの合計人数を、技士を雇っている病院の数で割ってみました。
(正規雇用が大半だったため、正規雇用のみの平均です。)
その結果
一つの病院あたりの臨床工学技士の平均人数は「7.59名」
(当サイト調べ)
であることが分かりました。
いかがでしょうか、無論病院規模にもよるんでしょうが、筆者個人としては
「意外と技士の人数いるんだなぁ」
というのが正直な感想だったりします。
とはいえ現場働いてて思うのは「まだまだ人手が足りない!」と言う感想を持つ方がほとんどでしょうから、職域の拡大とともにこの人数は今後ますます増えていくと思います。
CE(ME)の在籍人数の中央値は?
次に中央値です。
平均を計算していて思ったのですが、まだまだ臨床工学技士の人数が0人という病院も数多く目につきました。そのため技士が全国の病院にどれだけ在籍しているか、
その結果
・・・
・・・・・・
結果はなんと 「0人」でした。
日本全国には7041病院ある様ですが、臨床工学技士が一人でも在籍してる病院は全国で3044病院だけの様です。
つまり日本全国の病院の半分以上はまだ臨床工学技士が一人もいないと言うのが現状の様ですね・・・。
どこの病院にも医療機器はあるはずですが、管理とか一体どうしてるのでしょうか、全部外注なんですかね。
とはいえ病院は20床以上の入院設備あれば名乗れるわけですから、臨床工学技士が要らないような小規模病院が多いと考えると、それはそれで納得できる気もします。
話は逸れますが、そう考えると一部識者の言う「日本の病院の数は多すぎる」「統廃合してよりそれなりの規模のある病院に絞るべき」と言う論調にも同調したくなりますね。
この度のコロナ渦では基幹病院に勤める方に負担が集中していたわけですから。
ちなみに結果が0ではあんまりだと言うことで、平均値の時のように臨床工学技士が一人でもいる病院のみを絞って中央値を出してみました。
その結果は中央値は「5名」でした。
中央値は言わずもがな、全てのデータを順に並べたそのちょうど真ん中の数値を示すわけで整数です。
やはりトップの人数に平均は押し上げられていますが、中央値で見るとまだまだそんなものだなぁと言う感想です。
ちなみに平均値と中央値は年収とかでも露骨に差が出ますから両方を見比べてみる癖をつけた方がいいですよ。
今現在働いている臨床工学技士の総数は?
こちらに関しては令和2(2020)年医療施設(静態・動態)調査(確定数)・病院報告の概況を参照しています。
先程のデータはあくまで病院に勤める臨床工学技士の話でしたが、人工透析クリニック等の一般診療所で働く臨床工学技士も当然いるわけで、これはそれを含めた数字となります。
あとせっかくなので他の医療従事者の常勤数と比較できるよう全部貼ります。
その結果がこちら
※表記の仕方が今ひとつわかりにくいですが、医育機関(再掲)は病院の総数の中に入っているものとして考えます(もしかしたら違うかもしれません)
- 病院に勤める臨床工学技士は22653名
- 一般診療所に勤める臨床工学技士は7755名
- 今現在臨床で働いている臨床工学技士の総数は30408名
(令和2年10月1日現在)
と言う結果となりました。年によって前後はあるでしょうが大体3万人が今の雇用の実態と言っていいでしょう。
有効求人倍率までは調べてませんが、約3万人が今現在医療現場が雇える臨床工学技士の限界とも考えられますね。
しかしこの数字を見るとまだまだ他のコメディカルよりは少なすぎる気もしますね。
まとめ
まとめです。
厚生労働省令和2年度病床機能報告及び令和2(2020)年医療施設(静態・動態)調査(確定数)・病院報告の概況(2022/4/27に公表)より
- 一つの病院あたりの臨床工学技士の平均人数は「7.59名」
- 一つの病院あたりの臨床工学技士の雇用人数の中央値は「5名」
- 現段階でCEを数多く配置している病院が平均値を押し上げている
- 日本全国の病院の半分以上はまだ臨床工学技士が一人もいない
- 今現在臨床で働いている臨床工学技士の総数は30408名
ということが分かりました。
この数字を見て、臨床工学技士は飽和していると思うか、まだ足りないと思うかはあなた次第です。
就活や転職に活かすも良し、進学を控える学生さんは臨床工学技士の実情を知るきっかけになるも良し、何かしら皆様のお役に立てると幸いです。
コメント
コメント一覧 (3件)
阪大病院のホームページを確認すると36名と書かれているのですが、約10名ほど減少したということで、これはわりとよくあることという理解であってますでしょうか (定数としている所の方が少ない) ? 何かコメントがあれば教えて頂けますと幸いです。
個別の病院についての事情はわかりかねますのでこれはあくまで推論です。
ご存じかも知れませんが大学病院、特に国立大病院は試用期間が設けられており、試用期間の後に内部試験を経て正規職員となります。そのため、何人かは切られたのかもしれません。
もしくはこのような大病院では数年で10名程度変動することはあるのではないでしょうか。
極端な例ですが、中にはパワハラや内部対立によって一度に大勢が辞めた事例もあります。
あとはホームページが数年間更新されてないとかでしょうか、正直これが一番可能性ありそうです。
ご丁寧にありがとうございました。