本記事では、第2種ME実力検定試験(以下、ME2種)の合格へ向けた対策の解説をしたいと思います。
X上でも、CE養成校の学生さんが、ME2種やME1種の受験を報告されているので、CEじゃーなるとしても国試や試験対策のコンテンツは出そうと構想は練ってはいるのですが、なかなか着手できないのが現状です。
せめてもの勉強/対策方法を伝えようという思いで執筆しています。
是非とも参考にしていただければと幸いです。
この記事を参考にされた方の合格報告
なんと、この記事を参考にしてME2種を100点オーバーで合格報告をしてくださる方がいらっしゃいました!!
ME2種対策であるこの記事を執筆した甲斐があるというものです。是非とも、参考にしてみてください。
高得点合格者を輩出!!
ブログ執筆の励みになります。
ME2種対策の記事を執筆するにあたって
実はME2種対策の記事を執筆するより先にME1種の記事を2本書き上げていたのです。
ME2種の記事を執筆するには抵抗があったのです。
というのも、Moegi及び編集部としても、何なら大半の現役CE達も大体同じことを思っているはずです。
過去問繰り返したら合格できる
・・・と口を揃えて言われるかと思います。
数ある資格の中でも、ME2種の取得はCEとして働くまでにの最優先事項と考えます。
それなのに、ME2種の対策記事を出すのを躊躇したのは、私自身も、ME2種は過去問を数年分解けば合格できるという考えだったからです。
この記事を読まれているのは、
ME2種の取得前の方で、
「過去問を解くのはわかっているんだ、どのように解いていくのかを知りたい」
といったところだと思います。
一番簡単なのは、私がマンツーマン指導すれば合格できるでしょう(それは言い過ぎ?)。
あとは、ME2種対策記事を執筆すれば良い話ですが、全範囲をカバーするにはそれなりの時間がかかりそうです。
(いつかはME2種対策&国試対策コンテンツを作りたいです。)
・・・となると、何の問題集を使用して、どのように勉強したかを伝えることができればなと思っています。
【ME2種】第2種ME技術実力検定試験とは
では、まずはME2種の概要を確認しましょう。
英語ではCertificate Examination for Biomedical Engineering (Class II)と表記されます。
日本生体医工学会のME2種のサイトから引用しますと、ME2種は
『ME機器・システムの安全管理を中心とした医用生体工学に関する知識をもち、適切な指導のもとで、それを実際に医療に応用しうる資質を検定するものである』
と定義されています。
合格者は「第2種ME技術者」の呼称が使用でき、ME1種の受験資格が得られます。
つまりはME機器とそのシステムの知識を持っていて、指示があれば医療現場で技術を発揮できますよーっといったことを証明する資格ですね。
CEの国家試験に合格できる知識を有するか、CEとして現場で働くことができるかという指標にされるわけですね。
当然ながらこの資格だけでは、臨床工学技士としては就職することはできません。
受験資格
誰でも受験することが可能です。
推奨は以下の通りです。
- 医師・看護師・臨床工学技士・臨床検査技師等の医療従事者
- 企業における開発・製造・販売・修理等の担当者
- 各種ME関連の大学・専門学校の学生(特に臨床工学技士を目指す学生)
受験情報
- 受験日
年に1度、例年9月第一日曜日あたりで実施されます。 - 申し込み期間
申し込み期間は5月上旬~6月中旬になりますので、お見逃しなく。 - 受験会場
全国8会場:札幌、仙台、東京、金沢、名古屋、大阪、岡山、福岡
各都道府県ではないことにご注意を。 - 受験料
15,000円
ME2種、ME1種年間スケジュール:日本生体医工学会 ME技術教育委員会HPより
https://megijutu.jp/index.html#schedule
出題方式
問題数は120問、五者択一式の試験です。
小論文問題は2021年度(第42回)より撤廃されました。
合格点の目安は?
出題範囲
- 医学の基礎
→医学概論や解剖生理などの医療従事者としての基礎知識 - 理工学の基礎
→電気工学、高校レベルの物理内容 - MEの基礎
→循環、呼吸、血液浄化などCEの基礎分野 - ME機器の原理・構造
→いわゆる医用治療機器学や生体計測装置学 - ME機器の操作・運用
- ME機器の保守・点検
- 安全性・信頼性
- 病院設備
→⑤〜⑧は医療安全管理学
ME2種の合格発表日や合格率について
合格発表日はいつ頃?
合格率は?
ただし、ME2種に関しては受験資格は誰でも良いということもあり、とりあえず受けようという方が多く、実質の合格率はもう少し高いと考えています。
ME2種受験者数:「第2種ME技術実力検定試験結果」https://megijutu.jp/cebe2/cebe2_result.html
ME2種受験者数:「第2種ME技術実力検定試験結果」https://megijutu.jp/cebe2/cebe2_result.html
受験者数は毎年6000人超で経過しているようですね。小さいながらも意外といます。
国家試験との違いは?
私達現場のCEはME2種と国家試験を合格してきているわけですが、その経験からすると実施の内容や難易度の比較としては国試の方が難しいと思います。
正確には難しいというよりは、ME2種と比べると国試の方が範囲が広いのです。
そしてME2種というのは、国試の出題範囲の中で、学生さんが苦手とする科目だけが出題されるといった印象です。
国試の科目で学生さんが苦手とする科目として、電気工学、電子工学、機械工学、生体計測学、治療機器学、医療安全管理学などが挙げられますが、実はこの科目達がME2種の出題範囲の大半を占めるのです。
この辺りは、私Moegiの考えではあるのですが、上記の苦手科目の観点からME2種をすんなり合格できる人というのは、国試の勉強も苦労しないのではないかと考えています。
というわけで、ME2種と国試の違いというのは、私の考えは以下の通りです。
- 難易度としては、国試よりは易しい
- 国試の出題科目として学生さんが苦手とする科目がME2種の出題範囲となるため、結果として難しく感じ、合格率も国試より下がる印象
- ME2種をすんなり合格できるのであれば、国試の勉強は苦労しなさそう
- 総合して、「ME2種を合格しないと国試に合格できない」とされるのは、国試の出題範囲のうち、ME2種と同じ科目で足を引っ張ってしまい、国試の合格点に到達できないのでは・・・というのが理由と考える。
ME2種の勉強を始める前に
ただ単に過去問をひたすら何周も解きまくるのはやめましょう。
それが許されるのは、時間に余裕のある人か、解きながら吸収するのが得意な優秀な人に限ります。
『ME2種対策は過去問を繰り返し解いていればいい』とはいうものの、闇雲に過去問を解いていては効率が悪いです。
120問全部解いて勉強するのは、120問そのものを解く時間が無駄なのと、せっかく解いて覚えたのに別の科目にすぐに移ってしまうので身に付きにくいという点でも時間の無駄という点にあるからと私は考えます。
つまり、私から言わせてもらうと120問フルで解くのは、
①ME2種の勉強を始める際に、得意/苦手を確認するとき(1年分で充分、多くても2年分)
②ある程度勉強してからの腕試し(得点率と苦手部分の確認)
③最終確認(3年分程度)
・・・の3パターンで良いと考えます。
しかも、養成校では模試も実施されるわけで、弱点などは確認できるからです。
5年分準備したら良いというのはこういうことです。
Moegi流ME2種対策法
では、今回のメインの項となります。
私のME2種の勉強方法は、
第2種ME技術実力検定試験全問解説を1冊購入して、1ヶ月解説読みながら解き続ける
です。
ハイ、ありがとうございました。
・・・というわけにはいきませんよね。
ちゃんと経験を基に説明しますのでご安心ください。
といっても、実際の対策はダラダラ全問解説を解いただけでした…。
まずは、「彼を知り己を知れば百戦殆からず」ということで、1年分をどんな問題が出題されているのか、どのような選択肢があるのかを確認しつつ解きます。
1年ないし2年分くらいで良いでしょう。
先ほど、闇雲に過去問を解いていては効率が悪いですと言いました。
では、どうすれば良いのかというと、実際の問題は第〇問から◇問までは物理、第◎問から□問までは電気工学、第☆問から△問までは治療機器・・・というように、科目はおおよそまとまって出題されています。
ですので、例えば「今日は電気工学を5年分解いて、傾向掴んで公式や単位を覚えるぞー」、「今回は治療機器を攻める!そして、電気メスと除細動とレーザーの特徴覚える!」・・・という感じで科目ごとに解いていくと、記憶的に残りやすく、120問丸々解かなくても良いので、時間的効率も良いと考えます。
STEP2の科目ごとの勉強をある程度進めたら、1年分解いてみましょう。
どの科目が得意で、苦手なのかを把握します。
弱点科目を重点的に再度科目ごとに解いていきます。
模試の結果も参考にしましょう。
本番・・・つまり9月1週目の2週間くらい前に2年分くらい解いて、不足部分の最終確認をします。
本来、5年分くらいを何周かすれば合格ラインへ達する想定なので、ここまでにしっかりと科目ごとに勉強していれば余裕を持った気持ちで挑めるはずです。
この本番前の確認では、「ホルモンを確認しよう」、「レーザーの波長と適用忘れたし確認しとこう」、「生体計測の数値系で覚え忘れないかな?」というところを確認します。
以上が私の考えるME2種対策です。
試験本番が9月なので、入学して落ち着いた6月くらいから始めたら、一年次でも充分に合格できるはずです。
何年か解けば、同じような問題が繰り返し出題されていることに気が付くと思いますので、その感覚を大切にしていただければと思います。
できなければ、自分に甘かった・・・と反省しながら来年受けてくださいね。
編集部流ME2種対策法
編集部からも何か書いてくれと言われたのですが、詳細に書かれすぎてあんまり書くことなくなってますね。
では、編集部からもME2種対策法を伝授しましょう。
高校物理の参考書で学ぶ・復習する
ですかね。
というのも私は1年時にME2種をほぼノー勉で記念受験したのですが、それでも5割近くは取れたのです。
それはなぜかというとME2種の計算問題はほとんど
高校レベルの物理内容
なんですよね。なので高校時代理系クラスで物理を選択していた私からしたら全く解き方すら分からないといったほどの問題ではなかったのです。
(無論全部解けてたら受験も授業も苦労してないんですが)
先にMoegiが言っていたように
「国試の出題科目として学生さんが苦手とする科目がME2種の出題範囲となるため、結果として難しく感じ、合格率も国試より下がる印象」
「国試の出題範囲のうち、ME2種と同じ科目で足を引っ張ってしまい、国試の合格点に到達できないのでは」
というのはこの記事を読んだ私自身も納得のいく文でありまして、
正直ME2種の出題範囲のうち「医学の基礎やらME機器の基礎・構造・操作・保守、病院設備」なんて、養成校で授業を聞いていたら、年度を重ねるにつれてイメージがついてくるものだと思います。
ようは知識の有無を問われているだけですからね、慣れてくれば正確に覚えていなくとも何となくで正答できる問題でしょう。
ですが、計算問題に関してだけはどうしても越えられない人が一定数出てくるのです。
それはなぜか
理数系科目(あと英語)は積み重ねが全てだからです。
極端な話、小学生レベルの掛け算や分数の計算が怪しかったら、中学の連立方程式やらは解けませんよね。
養成校の授業もそれと同じで、高校卒業レベルの物理ができない人が、臨床工学技士養成校で習う電気電子や力学関連の授業についていけるはずがないんです。
なので編集部から言えることは一つ
土台から固め直そう
です。これは国試対策では時間がないですが、ME2種という比較的まだ余裕のある時期だからこそできる、というかやっておきたい事柄ですね。
自分達の養成校の時なんてBF(ボーダーフリー)で入ってきたはいいものの、学力が追いつかず半数が留年や進学諦めてましたからね・・・。
Fラン大が増えるのも考えものです。
編集部おすすめの参考書
「秘伝の物理問題集」ですが、私も確か同じ本を持っていた気がします(旧版だったかもですが)。
やはりインプットだけでは理解が進まないので、問題を解きながら解説を読み込み応用を学ぶのが一番学力上達に繋がります。
その点こちらの「秘伝の物理問題集」は解説がとても丁寧でおすすめできます。
ME2種には正直過剰なのですが、今後養成校で特に電気電子を学ぶ上で自然対数や虚数の概念はつまずきやすいポイントだと思います。
旧帝大出身の教授から教えてもらった一冊ですが、オイラーの公式という難しい内容を膨大なページを割いて解説しており、副読本としてはかなりおすすめです。ここでは数学の中でも最も美しい公式とされる
$$\mathrm{e}^{\mathrm{i}\theta} = \cos(\theta) + \mathrm{i}\sin(\theta)$$
をそれまでの証明の過程から詳しく学ぶことができます。
ん?本のタイトルと違うじゃないかと思ったそこのあなた、ぜひ手に取ってみてください。
ちなみに筆者の友人で、機械系の学部に進学し将来医療機器の会社に就職も考えてみたいからME2種を取りたいという者がいました。
その友人曰く「計算問題は簡単だけど、ME機器に関する話や実臨床のイメージが非医療系からしたらさっぱり分からない。」とのことで結局資格も取れず、就職も別の道に進んだ者がおりました(時間がなかったのも大きいでしょうが)。
そういう意味では臨床工学技士養成校に通われている方はこれらのME機器に関する話や実臨床のイメージに関しては授業でいくらでも耳にする機会があるので、そういった面では有利だと思います。
まぁ難しいこと書きましたが、本当にこれらができてたら国試はおろか、本来もっと上位の大学を狙えるんでしょうけどね。
現に私も大学時代を通して高校レベルの数学や物理がようやく分かったようになりました(うん、ごめん分かってない)。
ME2種対策の参考書や問題集は何が良い?
今では、CEじゃーなる2名の学生時代には存在しなかった問題集や参考書が存在していますね。
個人的にはME2種だけではなく、国試の勉強にも利用できる参考書が良いですが、とにかくME2種がヤバいッ!!、ME2種を集中的にしたい!!と考えている方もいると思うので、問題集以外にも参考書をご紹介したいと思います。
問題集
第2種ME技術実力検定試験全問解説
ME2種対策の問題集といえば、この全問解説問題集ですね。
1冊で5年分収録されており、全問解説付きです。
ME2種を勉強するにあたって、持っておきたい問題集です。
勉強そのものが得意で傾向を掴み、吸収するのが上手な方は、この1冊だけでも充分に合格できる実力は身に付きます。
第2種ME技術実力検定試験 徹底攻略!
ME2種を合格するにあたって、最低限押さえておきたい厳選された255問を解いていく問題集です。
苦手分野として良く言われる工学系の科目を中心に過去20年分の出題された問題から厳選されています。
工学系の問題が多いME2種で、苦手を克服したい方に是非ともオススメの1冊です。
対策テキスト
第2種ME技術実力検定試験 必勝ポイント帳−改訂第2版
ME2種で頻出する内容を簡潔にまとめられています。
イラストや表も多く使用されており、冊子もコンパクトサイズでME2種の勉強としてだけではなく、CE養成校の初学者にもオススメしたい対策テキストです。
重要語句は赤字のため、赤シートを用いた学習も可能です。
この第2版は新JISにも対応されています。
第2種ME技術実力検定試験 マスター・ノート 2nd edition
「マスターノート」はME2種定番の対策テキストですね。
ME2種の9年分を出題傾向を反映させた内容で、豊富な図表、簡潔な本文と箇条書きで要点をわかりやすく解説されています。
オススメはしますが、私とすればマスターノートを購入されるのであれば、「イエローノート」、「ブルーノート」、「グリーンノート」の方をオススメします。
ただし、ME2種に重点をおくのであれば、マスターノートで良いと思われます。
今後も見据えた1冊として
医療系資格試験のための電気
電気工学と電子工学が苦手な学生さんは多いことしょう。
少々古いものですが、このコロナ社の参考書は非常に読みやすく、わかりやすい参考書となっています。
ME2種と国試の過去問を例題にされているので、その場で実践ができます。
医療系資格試験のための物理
説明としては、上記の「電気編」と同じですが、こちらは物理の問題全般を扱っており、運動やエネルギー、流体力学、ドップラー効果、熱力学、単位変換、放射能などと、こちらも苦手とする学生さんが多いのではないでしょうか。
MEの基礎知識と安全管理
日本生体医工学会のME技術教育委員会とME技術講習会テキスト編集委員会が出されている参考書です。
このテキストは「MEの基礎」、「計測機器の取扱いと保守」、「治療機器の取扱いと保守」の3部で構成されおり、ME機器の基礎やJIS規格、保守や安全といったところを取り扱っています。
ME2種だけではなく、ME1種の対策テキストにどうぞ。
なお、2023年12月12日に新たに第8版が発売されます。
改訂内容が少ないとお考えであれば、第7版の方が安く入手できたりしますよ。
臨床工学技士 ポケット・レビュー帳−改訂第2版
言わずと知れた「ポケットレビュー帳」であり、今となっては定番の参考書ではないでしょうか。
私は購入したことはないのですが、とてもコンパクトで良いですね。
国家試験の要点を簡潔に解説されており、赤シート学習にも対応しています。
気を付けたいのは、あくまでも最低限の内容ですので、+αはご自身で勉強する必要があります。
まとめ
以上でME2種に関する記事でした。
基本的には過去問を5年分くらいを解いていると、合格ラインには近づくはずです。
筆者達の学生時代には無かった参考書などもあるので、是非自身に合った参考書を探してください。
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