本記事は「内視鏡スコープ(構造や種類、以下スペックと表記)」についての内容です。
消化管内視鏡業務において、スコープのスペック把握は基本となります。
スコープの鉗子口径や先端径、アングルの湾曲角などのスペック表を共有したいと思います。
内視鏡の市場シェアは?
スコープスペックの話の前に少し脱線します。
内視鏡業界ではFUJIFILMとOLYMPUSの2社で展開されており、当ブログでもこの2社の内視鏡システムの記事を執筆していきます。
内視鏡領域では、世界シェアとしても OLYMPUS、FUJIFILM、PENTAXの3社で90%とも言われています。
それでもOLYMPUSとFUJIFILMでほとんどを占め、OLYMPUSが70%、残りがFUJIFILMといったところでしょうか。
ちなみに、Moegiの施設ではOLYMPUSとFUJIFILMが半々といったところです。
OLYMPUS VS FUJIFILM
もしかしたら、どこかではOLYMPUSとFUJIFILMはどっちが良いの?と疑問を持たれている方はいらっしゃるかもしれません。
特に院内にOLYMPUSのシステムのみ導入していたり、逆にFUJIFILMのシステムしか使用していない施設さんでは「他社さんの内視鏡システムってどうなの?」と思っているのではと。
当院では大学病院といった特性と著名な先生方のお陰でもありますが、販売前の製品を扱うことが叶っている状況ですが、お互いに良い製品を切磋琢磨して出されている印象です。
ですので、特にFUJIFILMとOLYMPUSのどちらが優れているかというのは無いと考えます。
好みの問題と思いますが、個人的にはスコープはFUJIFILM、プロセッサはOLYMPUSが良いものを出されているという印象です。
シェアは圧倒的にOLYMPUSですが、私が内視鏡業務を担当している限り、FUJIFILMは決して数字ほど負けていないと思います。
FUJIFILMの細径スコープには定評がありますし、小腸用スコープなどバリエーションに富んでいることもOLYMPUSに無い強みなのかもしれません。
アンケート結果
TwitterにてOLYMPUSかFUJIFILMどちらがメインで使用されているかのアンケートを実施しました。
結果はOLYMPUSのシステムを使用されている施設がほとんどのようですね。
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内視鏡スコープスペックの把握の重要性
スコープのスペックの把握は、内視鏡業務においてまず覚えてほしい内容の一つです。
特に鉗子口径の把握は優先されるべき項目です。
どのデバイスが使用でき、どのスコープの鉗子口は通らないのかを把握しなければなりません。
次に優先される内容は、副送水が可能かどうか、拡大スコープかどうかだと思います。
止血等の処置がある場合は副送水、ESD術前検査などの診断では拡大機能が必要です。
その日の内視鏡検査項目と検査数、どの内視鏡検査/治療に対してどのスコープを使用するかの把握をすること、そしてどのスコープが何本あり、洗浄中のスコープ数、あと何分で洗浄が終わるかをマネジメントすることは、内視鏡室が円滑に進行するためのCEの重要な役割と言えます。
自施設で使用しているスコープは最低限覚えましょう。
ここでは私の内視鏡室で使用しているラインナップを基本としており、可能な限り当院にないスコープも+αして作成しています。
特に最新スコープについては問題ないかと思いますが、比較的販売が古いものはどこまで使用されているのかの判断が困難です
もし、ここのスコープスペック表にないものをご使用であり、追記のご希望があれば都度ご連絡いただければ幸いです。
また、抜けや間違いがあれば指摘いただければと思います。

基本的には添付文書で得られる情報をまとめただけです。
本当は備考などで可変付きなども載せたかったのですが・・・。
FUJIFILM
まずはFUJIFILMのスコープについてです。
スコープスペック表は、上部用、下部用そして十二指腸/小腸/超音波用に分類させていただきました。
上部消化管用
上部/下部に関わらずですが・・・上部用スコープで大事なのは拡大機能があるかどうか、副送水があるかどうか、そして細径(経鼻)スコープの鉗子口径です。
上記以外であれば処置用スコープのdownアングルが利くことですね。
特にEG-840T、EG-840TPのdownアングルは良く利くと術者の先生も絶賛されていました。
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下部消化管用
下部の検査では、基本的には拡大/副送水機能付きを使用されているのではないかと思われます。
というわけで、下部用スコープでは挿入困難時のlongスコープの選択が重要です。
細径longを使用するのか、太さそのままでlongスコープを選択するのかというところです。



あくまでも私見ですが、女性で疼痛が強い場合は細径longを、大柄な男性やループ解除、固定不良患者で通常longを選択する印象でしょうか。
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十二指腸、小腸、超音波用
FUJIFILMの十二指腸、小腸、超音波用スコープには定評がありますね。
側視スコープではOLYMPUSのJFを使用することが多いかと思うのですが、DBEはFUJIFILMのスコープを使用します。
特殊スコープのラインナップはFUJIFILMに軍配が上がりそうですね。



他施設のスコープ事情が分からないので、完全に私見で執筆しています。どういうスコープを使用しているのか教えていただきたいものですね。
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OLYMPUS
次にOLYMPUSのスコープについてです。
同様に上部用、下部用そして十二指腸/小腸/超音波用に分類しています。
大きく構造上に違いはありませんが、EZ1500、XZ1200、細径の1200Nは本当に画質が綺麗だと思います。



特にX1を使用した1200Nは凄いです。本当に細径スコープなのか?と感動します。
上部消化管用
240シリーズや260シリーズなどラインナップ多めに作成しました。
拡大と副送水の有無をしっかりと把握しましょう。
ここで注意したいのは、FUJIFILMの細径スコープの鉗子口径は2.4mmであるものが登場しているのに対し、OLYMPUSの細径スコープの鉗子口径は2.0mmないし2.2mmですので、生検鉗子のシャフト径の選択に注意をしましょう。
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下部消化管用
OLYMPUSの下部用スコープは型番の語尾が「I」ならば通常スコープ、「L」ならばlongスコープとなっています。
スペック表のEZ1500DとXZ1200は敢えて両方記載させていただきました。
両スコープは良いスコープなのですが、太さが少々ネックですね。
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十二指腸、超音波用
FUJIFILMと比較するとラインナップでは少し寂しい印象です。
しかし、ERCPでは側視であるJF、TJFは大活躍しています。
側視鏡や超音波用内視鏡は先端形状が直視鏡とはだいぶ異なるので洗浄方法が重要となります。
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オススメの参考書



内視鏡関連のMoegi選定のオススメ参考書をご紹介します。
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消化器内視鏡技師のためのハンドブック
「消化器内視鏡技師のためのハンドブック」はそのタイトル通り、内視鏡に関わるスタッフのための参考書です。
システムの話から手技の話、洗浄の内容まで網羅されています。
内視鏡技師のテキストといって差し支えないでしょう。
消化器内視鏡の機器・器具・デバイスはこう使え!
内視鏡デバイスの解説を写真と図表でわかりやすく解説されています。
本書は2017年発売のため、新しいデバイスやシステムは未掲載であるため、私もデバイス解説の記事を考えています。
症例から学ぶ 内視鏡医・内視鏡技師のための大腸腫瘍診断・治療
この本は内視鏡医のみならず、内視鏡室で業務をされるCEやNsにもオススメな1冊です。
JENT分類など様々な内容が詰まっています。
クイズ形式で実例提示もされており非常に理解しやすい内容となっております。
上部消化管内視鏡診断アトラス
上部編です。
内視鏡業務では介助者として入りますが、どういう病変なのか、過形成?、adenoma?など理解してやるかどうかで楽しさが変わります。
「CEさん、目が肥えてるね」って言われるのはやっぱ嬉しい。
消化器内視鏡技師試験問題解説〈V〉
消化器内視鏡技師の試験問題の解説集です。
第31回~第36回の試験問題と解答・解説を収録されています
問題ごとに解答の解説だけではなく、問題に関連した情報も図解や表とともに掲載されているので、とても頭の中に残りやすいです。
さいごに
改めて、内視鏡業務を円滑に進めていくためには、スコープのスペックを把握することは、基本中の基本となります。
デバイススペック表も作成可能ですが、流石に採用しているデバイスは施設ごとに多岐に渡りますので、作成はしませんが・・・。
といいつつも、採用しているデバイスのシャフト長やシャフト径についても把握すべき事項です。
スコープ、デバイス・・・あらゆることを把握して、内視鏡スペシャリストを目指してみませんか?
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